June, 7, 2018, Durham--デューク大学のメタマテリアル研究チームは、ほぼ完全な効率で音波の方向を変え、反射を制御できる薄い材料の設計と作製を実証した。
そのようなデバイスを設計するための理論的アプローチが多く提案されているが、それらは音の伝搬と反射を望ましい方法で正確に、同時制御することに苦労しており、実験的に実装されたものは皆無である。
新しい設計は、音波のほぼ完全な制御を実証し、3Dプリンタを使って素早く簡単に製造された初めてのものである。研究成果は、Nature Communicationsに発表された。
新しい設計は、メタマテリアルという新しい種類の材料を使用する。これは人工材料で、化学よりはむしろその構造により、光や音のような波を操作する。例えば、この特殊なメタマテリアルは、3Dプリントされたプラスチックでできているが、それはプラスチックの特性ではなく、音の操作ができるそのデバイスの特徴的形状が重要である。
そのメタマテリアルは、一連の4つの空洞円柱列でできている。各円柱は横が約1/2インチ、片端の中央に狭い開口部があり、世界一深いEthernetポートのように見える。論文でデモされたデバイスは、高さ1.6インチ、長さ約3.5インチであるが、高さと幅は重要でない、理論的にはどちらかの方向にどこまでも延ばすことがてぎる。
研究チームは、各円柱列と個々の円柱内部の空洞サイズとの間のチャネル幅によりデバイスが音をどのように操作するかをコントロールする。円柱のなかには広がったものがあるが、他のものはほぼ閉じている。
各円柱は、それがプラスチックで埋められた程度に応じて異なる周波数で共振する。
音波がデバイスを通って進むにつれて、各キャビティは所定の周波数で共振する。この振動は音波の速度に影響を与えるだけでなく、その隣接キャビティと相互作用して、両方の伝送と反射を弱める。
研究チームは、材料の各サイドに必要となる境界条件が、出て行く波と反射される波の振る舞い方を望み通りにするプログラムを入力しする。ランダムな一連の設計ソリューションを試した後、プログラムはベストソリューションの様々な組合せを調和させ、ランダム「変異種」を導入、次に再度走らせる。何度も繰り返した後、プログラムはついに、所望の結果をもたらす一連のデザインパラメータに「進化」する。
論文では、研究チームは、そのような一連のソリューションの1つが音波の方向を変えてメタマテリアルに向かっていくことを実証している。効率96%で出力角度は鋭い60°。以前のデバイスであれば、運が良ければそのような条件で60%の効率を達成すると考えられる。この特殊な設定は3000Hzの音波を制御するように設計されていたが、メタマテリアルは、ほぼどんな音波にも影響を与えられるように拡張可能である。
研究チームは次に、この考えを水中で音波を操作するように変更する計画である。アプリケーションはソナーである。
(詳細は、https://pratt.duke.edu/)