May, 31, 2018, Munich--ミュンヘン工科大学(TUM)物理学研究チームは、電圧印加を利用して構造的に異なる2つの状態間で切り替えが可能になる分子ナノスイッチを開発した。これらのスイッチは、シリコンベースのコンポーネントを有機分子で置き換える画期的なデバイスの基盤となり得る。
新しい電子技術の開発は、機能コンポーネントサイズのとどまるところのない減少を促進する。国際的な協力という文脈で、TUMの物理学チームは、シングル分子を光信号のスイッチング素子として使うことに成功した。
「わずか1分子でスイッチングすることは、将来のエレクトロニクスの究極の微小化限界に向けて一歩前進したことになる」とTUM物理学部ナノサイエンティスト、Joachim Reichertはコメントしている。
研究チームはまず、強光場で分子と精密電気接触を作り、電圧印加でそれを扱う方法を開発した。1V程度の電位差で分子はその構造を変え、フラットになり、導電性が現れ、光を散乱させる。
この光挙動は、分子の構造に強く依存するものである。光散乱、この場合はラマン散乱が観察され、同時に印加電圧によりスイッチON/OFFが可能である。
研究チームは、バーゼルとカールスルーエのチームが合成した分子を使った。分子は、荷電により特殊な方法でその構造を変える。分子は、金属表面に整列し、ガラス片のコーナーを使って、先端にコーティングした非常に薄い金属と接触させられる。
これが、電気接点、光源、光コレクタをすべて一体として機能させる。研究チームは、そのフラグメントを使ってレーザ光を分子に向け、電圧印加によって変わる微小な分光信号を計測した。
個々の分子間の電気接点を確立することは、技術的な視点からして非常に難しい。研究チームは、これらの方法を単一分子分光計と組み合わせることに成功し、分子の最も小さな構造的変化さえも高精度観察ができるようになった。
分子エレクトロニクスの目標は、集積された直接対処可能な分子を使うことで、従来のシリコンベースのコンポーネントを置き換える新しいデバイスの開発である。
微小なサイズであるため、このナノシステムは、電位差で光スイッチが必要されるオプトエレクトロニクス応用に適している。
(詳細は、www.tum.de)