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LiDARを使って魚の侵入を発見し国家資源を保護

May, 30, 2018, Washington--数10年間、国立公園サービス(National Park Service)は、猛烈な食欲を持つ侵襲的魚、レイクトラウトとの闘いに釘付けにされている。レイクトラウトは、イエローストーンレイク(Yellowstone Lake)に突然現れ、繁栄していた以前の生態系系をひっくり返した。新たな研究によると、その外来種魚が産卵のために浅瀬に入る短い数週間に、航空機搭載測定器が外来種魚を見つけ、捉える、より迅速な方法となる。
 光ベースのイメージング技術、光検出および測距(LiDAR)を利用する計測器により、湖の管理者は低コストでより広いエリアにわたり侵襲魚を探すことができる。これにより、毎年200万ドルのレイクトラウトコントロール予算をより効率的に利用することができる。
 Applied Opticsに掲載された論文では、研究チームは、一連の試験飛行をレポートしている。試験飛行では、レイクトラウトグループを発見し、これまで知られていなかった産卵場所を特定することに成功している。研究チームは、表面から15m下を泳ぐレイクトラウトの2つ以上のグループを発見できることを実証した。
「この研究でわれわれが対処している主要な問題は、侵襲的なレイクトラウトの産卵場所を見つける方法の必要性である。それによって、漁業生物学者は、その数を減らす様々な方法を導入できる。これらの魚を追跡する、音響センシングを含むいくつかの他の方法が探求されているが、航空機は、船よりも遙かに短い時間で大きな湖をカバーすることができる」とモンタナ州立大学、Joseph A. Shawは説明している。

LiDARは海洋生態系で魚の追跡に使用されているが、比較的水が濁っている湖でこれが魚の研究に使用されるのは初めてである。
 また、他のLiDARアプリケーションは高価で高度な装置を必要とするが、モンタナ州立大学(Montana State University)の研究チームは10万ドル以下の新しい計測装置を開発し、1日に500ドルで飛ばせる単発航空機に搭載できるように最適化した。これは、環境保護学者、地元の漁業と水資源管理者向けの実用的なソリューションとなる。
「相対的に低コストで小型LiDARシステムは、プランクトン層、水中の漏れ口からの汚染物質のマッピングなど、他の環境研究にも有用である。地上からのアクセスが難しい遠隔の湖が、1日で簡単にマッピングでき、研究できる」とShawは話している。

1990年代、外来のレイクトラウト導入が、Yellowstone Lakeの複雑な生態的均衡を劇的に崩した。
レイクトラウトは、在来のノドキリマスを捕食する。ノドキリマスは歴史的に、多くの最上位の捕食者の主要な食糧供給源だった。レイクトラウトの数が激増するにともない、ノドキリマスの数が激減、2000~2005年の間に90%減少した。これは、熊、鳥および他の動物にとっては食糧供給の著しい減少だった。これらの動物は、外来のレイクトラウトを捕食することはできない、レイクトラウトは、ノドキリマスと違い、1年のほとんどを深水域で過ごすからである。

研究チームは、タグづけすることなしにレイクトラウトの大きなグループを素早く見つける、より効果的な方法を探求した。そのソリューションは、小型航空機に設置されたLiDAR機器である。これにより、5m帯状の水に魚を見つけ、1時間に80kmをカバーすることができる。
 デバイスは、航空機からのレーザ短パルス光を水中に放射することによって機能する。LiDARレシーバは、戻り光を計測し、研究チームは周辺の水から魚を選び出すことができる。湖用にセットアップを最適化するために、研究チームはグリーンビームのレーザを使用した。これは、地上のLiDARアプリケーションで使用されている他のタイプのレーザよりも水への透過性が優れている。水面の光の反射が曲がってレシーバを飽和させないようにビームは傾けられていた。
 研究チームは、最小コストで十分な光パワーを供給できる独自のシステムを設計、作製した。2015、2016年に行われた新しいセットアップテストは、多数のレイクトラウトグループの特定に成功している。
 Shawによると、プッシュブルームスキャニングと言う技術でシステムをさらに改善できる。この技術では、レーザビームが広い帯状をカバーするラインでスキャンされる。これにより、現在のセットアップで使用されているシングル固定角レーザよりも迅速に湖全体をスキャニングすることができる。
 また、研究チームは、LiDAR生成データの実用的な情報への素早い変換に役立つ追加ツールも開発する。