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東京工業大学/中央大学、可視光で働く新しい光触媒を創出

May, 29, 2018, 東京--東京工業大学 理学院 化学系の前田和彦准教授、石谷治教授、栗木亮大学院生・日本学術振興会特別研究員らは中央大学 理工学部の岡研吾助教と共同で、鉛とチタンからなる酸フッ化物が可視光照射下で光触媒として機能することを発見した。

酸フッ化物が例外的に小さなバンドギャップを有していることから光触媒の可能性を検討して実現した。可視光照射下で、水からの水素生成や二酸化炭素(CO2)のギ酸への還元的変換反応に対して活性となるため、幅広い分野での応用が期待される。
 これまで、酸フッ化物はバンドギャップが大きく、可視光応答型光触媒として不向きと考えられていた。今回の前田准教授らの発見により、物質探索の対象にならなかった新たな材料群に、革新的光触媒機能を見い出せる可能性が見えてきた。
 研究グループは、酸フッ化物Pb2Ti2O5.4F1.2(鉛・チタン・酸素・フッ素)が可視光応答可能な狭いバンドギャップを特異的に有し、安定な可視光応答型光触媒となることを見出した。結晶構造解析の結果、Pb2Ti2O5.4F1.2はアニオン複合化により酸化物では安定的に得られないパイロクロア構造をとり、その構造の特徴として酸素―鉛結合距離が特異的に短くなっていることが明らかになった。
 さらには、第一原理計算によるバンド構造解析により、同材料の価電子帯において酸素成分と鉛成分との混ざり合いが顕著なことを突き止め、この酸素―鉛結合がもたらす強いイオン間相互作用がバンドギャップの縮小に寄与していることがわかった。
 研究成果は「Journal of the American Chemical Society」オンライン版に掲載された。
(詳細は、www.titech.ac.jp)