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超解像顕微鏡のための高精度色収差補正ソフトウエアを開発・無償公開

May, 24, 2018, 東京--NICTは、未来ICT研究所において、超解像顕微鏡のための高精度色収差補正ソフトウエアを開発した。
 大阪大学、オックスフォード大学と共同で開発したこの技術により、生命科学に用いる高度な蛍光顕微鏡における色収差補正精度を従来から約10倍向上させ、3次元で約15nmの精度を達成。これまで障壁となっていた観察対象の生体試料が引き起こす色収差を計測する技術を開発し、生命科学・医学研究にとって不可欠な多色観察の高解像度化を推進できるものと期待されている。NICTは、この技術を使用できるソフトウエアを公開した。
 この成果は英国オープンアクセス科学誌「Scientific Reports」に掲載された。
 この研究では、顕微鏡のレンズなどが引き起こす色収差に加え、観察対象の生体試料により引き起こされる色収差も計測し、補正できる手法を開発し、超解像顕微鏡法の色収差補正精度を従前から約10倍向上させることに成功した。従来は、人工的な校正用サンプルの色収差を計測し、その色収差を補正していたため、観察対象の生体試料により引き起こされる色収差を補正できなかった。
 研究チームは、画像取得法と計算方法の両面から開発を行った。画像取得法では、観察試料の中にある同一の対象物を多色で染め分ける方法や、通常はフィルターでカットしてしまう余分な蛍光を使って観察するなど複数の方法によって、観察試料の色収差により色ズレした画像を取得することに成功した。このように撮影した画像と、今回開発した新しい計算方法である「四象限位相相関」(補足資料参照)を用いて、複雑な色収差量を高精度に測定することに成功した。
 観察試料により変化する色収差のため、従来は3次元で約100-300nmの補正精度しか得られなかったが、この研究の方法を用いて、3次元で約15nmの色収差補正精度を達成することができた。この方法により、近年飛躍的に分解能が向上した超解像顕微鏡の画像を正しく解釈できるようになりる。
 NICTは、バイオの研究進展に役立てるため、開発した高精度色収差補正ソフトウエアを無償で公開している。
(詳細は、www.nict.go.jp)