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画期的な光デリバリ技術がバイオセンサを改善

May, 23, 2018, Washington--ハルビン工業大学(Harbin Institute of Technology)の研究チームは、改良型ウイスパリングギャラリのバイオセンサを開発した。
 ガンや他の病気の検出に診療現場(POC)で使える実用的なチップベースセンサが必要とされている。微小シリコンマイクロディスクに光を注入する画期的な方法により、コストを下げ、チップベースバイオセンサの性能を改善することでこの要求に応えることができる。この前進は最終的に、ポータブルでローコストの光センサとなり、早期ガン診断に使用される。
 マイクロディスクは、一種のマイクロスケール共振器であり、これはウイスパリングギャラリ効果を使ってディスクに入ってくる光を閉じ込め強める。音の波を運ぶウイスパリングギャラリの湾曲した壁により対向する部屋でささやきがはっきりと聞き取れるように、マイクロディスクの湾曲内部表面が光の波をディスクの対向位置に運び光を強める。これによりマイクロディスクは、関心のある細胞、タンパク質からの光ベースの信号を強め、紅斑性狼瘡、線維筋痛や特定の心臓障害に関連した微妙な変化をより高感度に検出できるようになる。
 中国、ハルビン工業大学のQinghai Song研究リーダーによると、現状のウイスパリングギャラリモードマイクロ共振器のアプリケーションには問題がある。デバイスの反復性、安定性、波長範囲によって制限されているからである。「われわれの設計により、さまざまな波長で機能する優れたデバイス性能が可能になる。デバイスは、ローコスト、高安定性、優れたデバイス反復性が特徴である」とコメントしている。
 Opticaに発表された研究成果によると、デバイスはエンドファイア構成となっており、簡素な、コスト効果の優れた効率的な方法で光をマイクロディスク共振器に導入する。マイクロディスクとエンドファイアインジェクションを利用するデバイスは、温度変化やナノ粒子の存在の検出に利用可能である。
 研究チームの究極目標は、新しいエンドファイアインジェクション技術を利用してポータブルでローコストのセンサを実現することである。しかし、新しい光結合構成は、通信アプリケーション向けの集積フォトニック回路や、国土安全、環境モニタリングなどで使用されるさまざまなセンサにも有用であると研究チームは指摘している。

ほとんどのマイクロディスクは、エバネセント光結合として知られる光学現象を利用して光が間接的にマイクロディスクに注入されるように設計されている。しかし、この方法は、導波路とマイクロディスクとの非常に精密なアライメントを必要とするので、製造コスト増となり、デバイスは安定性の問題に影響されやすくなる。
 研究チームのエンドファイアインジェクション技術は、マイクロディスクの端に直接接続する導波路を使用する。ディスクの横に正確に垂直な光は界面で跳ね返るが、垂直からわずかにズレた角度の光を利用することで、レーザ時間反転として知られる反直観的な現象を誘発する。これは、光を放出するよりも吸収するレーザとなり、光は効率よくマイクロディスクに入る。
「この構成は、500nm以下のパーツを必要としないので、低コスト技術で製造できる」とSongは言う。
 その設計をテストするために研究チームは、導波路に接続された半径5µmのマイクロディスクを含むデバイスを作製した。エンドファイアインジェクションを計測するために、チームはYスプリッタを組み込んだ。そのスプリッタにより光はスプリッタを通ってマイクロディスクに注入され、次に同じ導波路に沿ってマイクロディスクから転送された。Yジャンクションからのスペクトルを記録すると、光が57%の効率でマイクロディスクに結合できることが分かった。
 デバイスは、高いQファクタを示すことも研究チームは明らかにした。加えて、導波路幅が400nmから700nmに増えるような製造偏差でもディスクは優れた性能パラメータを維持できる。
 研究チームは、マイクロディスクとエンドファイアインジェクションを組み込んだセンサが、多数の大きなナノ粒子、30nm程度のナノ粒子の存在を検出できることも実証した。チームは、ガンを検出するために40~100nmの細胞由来の小嚢を使うことに関心を示している。これは、今回の成果に基づいて可能になるはずである。