May, 22, 2018, Berlin--光の検出と制御は、多くの現在のデバイスアプリケーションの中核にある。たとえば、携帯電話のカメラなど。グラフェンを光ディテクタの感光性材料として使うことで、現在使われている材料に関して、著しい改善が可能になる。たとえば、グラフェンは、ほぼどんな色の光でも検出できる、また、非常に高速の電子応答が可能である。したがって、グラフェンベースの光ディテクタを適切に設計するためには、光吸収後に起こるグラフェン内部のプロセスを理解することが非常に重要である。
ICFO(光科学研究所)研究者、Klaas-Jan Tielrooij とICREA教授、 Frank Koppensは、ヨーロッパの研究センターの研究者と協力して、これらのプロセスの理解に成功した。研究成果は、Science Advancesに発表された。それによると、研究チームは、ある場合にはグラフェン伝導性が光吸収後に増加し,別の場合には、減少する理由を完全に理解することに成功している。この挙動は、吸収された光からのエネルギーがグラフェン電子へ流れる仕方に関連していることを研究チームは示した。光がグラフェンで吸収された後、グラフェン電子が過熱するプロセスが非常に高速に、高効率に起こる。
高ドープのグラフェン(多くの自由電子が存在する)では、超高速電子過熱が高エネルギーとなったキャリアになる、つまりホットキャリア。これは次に、伝導性の低下となる。興味深いことに、低ドープのグラフェン(それほど多くの自由電子が存在しない)では、電子過熱は、追加の自由電子を生成し、したがって、伝導性が増加する。これらの追加キャリアは、グラフェンのギャツプレス的性質の直接的結果である、ギャップのある材料では、電子過熱は追加の自由キャリアにはならない。
グラフェンにおける、光誘起電子過熱のこの単純なシナリオは、多くの観察結果を説明できる。光吸収後の材料の伝導特性の記述は別にして、そのシナリオはキャリア倍増を説明できる。そこでは、特殊条件下で、1つの光吸収粒子(フォトン)が間接的に追加自由電子を1個以上間接的に生成でき、したがってデバイス内で効率の良い光応答が生ずる。
論文の成果、特に電子過熱プロセスの正確な理解は、グラフェンベースの光検出技術の設計と開発を、間違いなく大きく促進する。
(詳細は、www.icfo.eu)