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テラヘルツ照射でグラフェンにフォトカレント

May, 16, 2018, Moscow--MIPTと英国の研究チームは、テラヘルツ照射下のグラフェンでフォトカレントにつながるメカニズムを明らかにした。
 Applied Physics Lettersに発表された論文は、高周波を照射されたグラフェンの直流発生についての長期にわたる論争に終止符を打っただけでなく、高感度テラヘルツディテクタの開発を準備するものであった。そのようなディテクタは、医療診断、ワイヤレス通信、セキュリティシステムで強く求められている。
 テラヘルツ照射を際立たせているのは、その固有の特性である。例えば、テラヘルツ波は、多くの誘電体を電離することなく簡単に透過する。これは、医療診断、セキュリティシステムで特に価値がある。テラヘルツカメラは、衣服の下に隠した武器を「見る」ことができる、また医療スキャナは、テラヘルツ領域で特徴的な生体分子のスペクトル線(フィンガープリント)によって初期の皮膚ガンを検出できる。さらに、Wi-Fiデバイスのキャリア周波数を数GHzから数100GHzに上げて(サブTHz範囲)、それに比例して帯域を増やせる。しかしこれらのアプリケーションの全てが、,製造容易な高感度、低ノイズテラヘルツディテクタを必要としている。
 MIPT、MSPUおよびマンチェスタ大学の研究グループが設計したテラヘルツディテクタは、窒化ホウ素の誘電体層に挟まれたグラフェンシートで、これはテラヘルツアンテナに電気的に結合されている。アンテナは、ミリメートルサイズの金属スパイラル。照射がアンテナに作用すると、グラフェンシートの片側の電子を揺らし、結果的に直流が反対側で計測される。それは、記録的に高い電気特性を可能にする窒化ホウ素へのグラフェン「パッキング」である。これによりディテクタは、以前の設計を一段と上回る感度になる。しかし、この研究の主要な成果は、より優れた性能の計測器ではない。その光電流に関与する物理現象の洞察である。
 3つの主要な効果により、テラヘルツ照射を受けててグラフェンに流れる電流となる。まず、光熱電効果は、アンテナ端子とセンシング端子間の温度差によるものである。これが熱い端子から冷たい端子へ電子を送る。第二の効果は、端子の整流電流。グラフェン端が特定の極性の高周波信号だけを透過させる。3番目、最も興味深い効果は、プラズモン波調整。アンテナ端子がグラフェンストリップの「電子海の波」をかき乱すと考えることができ、それに対してセンシング端子はこれらの波に関わる平均電流を記録する。
 MIPT第二材料オプトエレクトロニクス研究所長、Dmitry Svintsovは、「以前、そのようなディテクタの光電流説明は、これらのメカニズムの1つしか使わず、他の全てを除外していた。実際、3つ全てが効果を表しており、われわれの研究で、どの効果がどの条件で優勢であるかが分かった。熱電効果は、低温で優勢であるが、プラズモニック調整は高温および、より長いチャネル機器で優勢である。また、最も重要なことは、われわれがディテクタの作り方を見いだしたことだ、そこでは異なる光応答メカニズムが相殺されず、むしろ相互に強め合う」と説明している。
 これらの実験は、テラヘルツディテクタの最良設計の選択に役立ち、われわれは危険物の遠隔検出、安全な医療診断、高速ワイヤレス通信により近づく。
(詳細は、www.mipt.ru)