May, 10, 2018, Amsterdam--サーキュレータは、通信技術で重要なコンポーネントである。光をルーティングする独特の方法は、通常、センチメートルサイズの磁石を必要とする。これは光チップで使用できるように微小化することが難しい。AMOLFとテキサス大学の研究チームは、光と相互作用する振動ガラスリングにより、この問題を巧みに回避した。研究チームは、こうしてマイクロスケールのサーキュレータを実現した。これは、磁石を使うことなく、光チップ上で光を一方向にルーティングする。研究成果は、Nature Communicationsに掲載された。
サーキュレータを使うことでネットワークの2つ以上のノード間で損失なく情報を転送できる。サーキュレータが光ネットワークで広く使用されている理由はここにある。サーキュレータには、いくつかの入口と出口があり、その間で特別な方法で光をルーティングする。特定ポートからの入力光は、第2ポートに出力されるが、その第2ポートに入ってくる光は、第3ポートなどに存在する。
「光伝搬は実際には対称的である。つまり、光がAからBへ伝搬できるなら、逆の経路も同様に可能である。その対称性を破るには仕掛けが必要である」とAMOLFグループリーダーEwold Verhagenは言う。「通常この仕掛けは、センチメートルサイズの磁石を使い、方向を分け、光伝搬の対称性を破る。そのようなシステムは、フォトニックチップで使えるように微小化が難しい」。
振動ガラスリング
研究チームは、別の仕掛け、マイクロスケールガラスリング共振器を使いサーキュレティング動作を実現する。リング内の光を同じ構造の機械的振動と相互作用させる。チームは、この原理を以前の研究成果で使用し、一方向光伝送を達成した。「リング内の制御レーザの光を発光させることで、異なる色の光が放射圧として知られる力により振動を励起できるが、それは制御光と同じ方向に伝搬する場合だけである。光は、振動する構造では、静止した構造を通る場合とは伝搬の仕方が異なるので、その光の力は、磁界と同じように対称性を破る」とVerhagenは説明している。
光のラウンドアバウト、
以前に実証したように「光の一方通行」を有用な光の「ラウンドアバウト」に変えることは、考えるほど容易ではなかった。ポスドクJohn Mathewは、「課題は、光がルーティングされる特別な出口を決定すること、必ず次のポートとなるような出口である」と言う。
研究チームは、光干渉に解決を見いだした。構造内の光経路を慎重に制御することで、各入力からの光は、適切な出力ポートで構造的に干渉することが保証される。「われわれは実験でこのサーキュレーションを実証した。また、動的調整ができることも示した。制御レーザの周波数とパワーにより、サーキュレーションはON/OFFでき、どちらに行くかを変えることができる」とMathewは言う。
光のAMOLF「ラウンドアバウト」は事実上、初のマグネットフリー、オンチップ光サーキュレータである。研究は、実際には、基礎研究であるが、可能性のあるアプリケーションは多い。「このようなデバイスは、情報伝達に電子の代わりに光を使うチップの基本的構成要素となる。また、将来の量子コンピュータ、通信ネットワークでも使える。アクティブ制御できるサーキュレータは、追加機能となり得る。光回路を自由に設定できるからである」と話している。
(詳細は、https://amolf.nl)