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人工光学材料で中赤外イメージングとセンシングを改善

May, 9, 2018, Cambridge--MITなどの研究者が開発した、スペクトルの中赤外部分で画像を取得する新しい方法は、熱画像、バイオメディカルセンシング、フリースペース通信を含め、幅広いアプリケーションを可能にする。
 電磁放射の中赤外(Mid-IR)は、特に有用なスペクトル部分である。暗闇でのイメージングが可能になり、熱シグネチャを追跡、多くの生体分子や化学シグナルの高感度検出ができる。しかし、この周波数帯域の光学系は作製が難しく、それを使うデバイスは極めて特殊で高価である。研究者によると、この波を制御し検出するための非常に効率的で量産可能なアプローチが開発された。研究成果は、Nature Communicationsに発表された。
 新しいアプローチは、フラットな、人工材料を使用する。これは、従来のオプティクスに使用されているような通常の厚く、湾曲したガラスレンズの代わりに、ナノ構造の光学素子で構成されている。この素子は、オンデマンド電磁応答を示し、コンピュータチップに使われるのと同様の技術を用いて作製される。「この種のメタサーフェスは、標準マイクファブリケーション技術を用いて製造できる。製造は拡張性がある」とMITの研究者、Tian Guは説明している。
 さらに同氏は、「可視光や近赤外ではメタサーフェスオプティクスの注目に値するデモンストレーションはこれまでにあったが、中赤外では動きは緩慢である」と付け加えている。同氏によると、このデバイスを非常に薄くできたので、問題は、「それを効率的に、ローコストに造れるか」だった。研究チームは、現在、それを達成した。
 新しいデバイスは、カルコゲナイドアロイでできた「メタアトムズ“meta-atoms”」という精密形状の薄膜光学素子のアレイを使用する。カルコゲナイドアロイは、高屈折率であり、高性能のメタアトムズという超薄型構造を形成することができる。このメタアトムズは、ブロックレター、IまたはHに似た形状であり、IRに透明なフッ化物基板に堆積、パタニングされる。その微小形状は、観察される光波長の何分の1かの薄さであり、集合的にそれらはレンズのような働きをする。それらは、もっと大きな自然の材料ではできない、ほぼ任意の波面操作を可能にするが、厚みはほんのわずかであり、したがって必要な材料は極めて少ない。
 Guによると、製造工程は非常にシンプルな技術。材料を基板に過熱蒸着する。研究チームは、6インチのウエハでその技術を実証した。スループットは高く、標準的なマイクロファブリケーションである。また、同氏は「さらに大規模の製造も視野に入れている」と話している。
 デバイスは、Mid-IR光80%を透過し、光学効率は最大75%、既存のMid-IRメタオプティクスに対して大幅な改善である。また、従来のIRオプティクスよりも遙かに軽量に、薄くできる。同じ方法を使い、アレイのパタンを変えることで、研究者は異なるタイプの光学デバイスを適宜作製できる、たとえば簡単なビーム偏向器、円筒レンズや球レンズ、複雑な非球面レンズなど。レンズは、Mid-IR光を理論的に可能な最大鮮明さ、つまり回折限界で集光できる。
 これらの技術によりメタ光学デバイスを作製でき、これらは光を、従来の大きな透明材料を使って達成したよりももっと複雑な方法で操作できる。デバイスは、偏向や他の特性も制御できる。
 Mid-IR光には、ほとんどのタイプの特性スペクトルバンドが含まれており、多くの分野で重要である。Mid-IR光は大気を効果的に透過する。したがって、軍事や産業アプリケーションだけでなく、環境モニタリングなど、幅広い物質の検出に重要である、と研究者は説明している。可視光や近赤外帯域で使われる、ほとんどの通常の光学材料は、この波長には完全に不透明なので、Mid-IRセンサは作製が複雑で、高価である。したがって新しいアプローチは、全く新しい潜在的なアプリケーションを開く、たとえばコンシューマセンシング、イメージング製品などである、とGuは話している。
(詳細は、www.mit.edu)