May, 9, 2018, Toronto--トロント大学の研究チームは、皮膚組織層を堆積し、深い傷を治療できるハンドヘルド3Dスキンプリンターを開発した。研究チームは、同プリンターが2分以下で、その場で組織を形成する初めてのデバイスであると考えている。研究成果は、Lab on a Chipに掲載された。
皮膚に深い傷を負っている患者は、皮膚の表皮、真皮、皮下組織の3層すべてが深く損傷している。現在の推奨治療は、分層植皮(STG)と呼ばれており、健全なドナー皮膚を表皮と下層の真皮の一部に移植する。
大きな傷への分層植皮には、三層すべてを横断する健全な皮膚を必要とし、十分なグラフト皮膚が入手できることは稀である。このことは、傷を負った領域の一部が「移植されていない」あるいは覆われていないままとなり、予後不良治療となる。
非常に多くの再生医療代用皮膚が存在するが、それらはまだ臨床状態では広く使用されていない。
「ほとんどの現在の3Dバイオプリンターは大きく、低速動作であり、高価で、臨床応用に不適合である」と応用科学・工学部のAxel Guenther教授は説明している。
研究チームは、その場で使える皮膚プリンターが、これらの障害を乗り越え、同時に皮膚治癒プロセスを改善するプラットフォーム技術になると考えている。これは大きな前進である。
ハンドヘルドスキンプリンターは、修正テープディスペンサに似ている。ただし、テープロールは、組織シートを形成するマイクロデバイスに置き換えられている。「バイオインク」の垂直ストライプは、コラーゲンとフィブリンを含むタンパク質ベースのバイオマテリアルで作られている。コラーゲンは真皮に豊富なタンパク質、フィブリンは傷の治癒に関与するタンパク質。このバイオインクが、各組織シートの内部に沿って出て行く。
「われわれのスキンプリンターは、組織を特定患者に、傷の特性に調整する。しかも、それは非常にポータブルである」とPhD学生、Navid Hakimiはコメントしている。
そのハンドヘルドデバイスは靴箱程度のサイズ、1kg以下の重量である。また、操作トレーニングは最小であり、多くの従来型バイオプリンターに必要とされる洗浄と保温期間が不要になる。
研究チームは、カバーできる傷の範囲を広げることを含め、いくつかの機能をプリンターに付加することを計画している。
(詳細は、www.utoronto.ca)