May, 2, 2018, 和光--理化学研究所(理研)光量子工学研究センター先端レーザ加工研究チームの杉岡幸次チームリーダーらの研究チームは、異なるフェムト秒レーザ加工技術を融合することにより、ごく微量の有害物質をリアルタイムで検出できる「3次元マイクロ流体表面増強ラマン散乱(SERS)センサ」を開発した。
研究成果は、大気、水、土壌、食品などに含まれるごく微量の有害物質を、その場でリアルタイムに検出する技術への応用が期待できる。
研究チームは、3次元ガラスマイクロ流体チップ内に、SERSセンサを集積することを提案した。まず、3次元マイクロ流体構造をガラスマイクロチップ内に構築し、さらに流体構造内部の所望の位置に、金属薄膜を選択的に堆積した。そして堆積した金属薄膜に、金属のナノドット周期構造を形成した。これら一連のプロセスは、1台のフェムト秒レーザで行うことができる(全フェムト秒レーザ加工)。形成したナノドット周期構造がSERSセンサとして機能し、ガラス基板上でのラマン散乱と比較して7.3×108倍のラマン散乱強度の増強が得られた。その結果、10ppb(1ppbは10億分の1)の検出感度で、異なる濃度のカドミウムイオン(Cd2+)をリアルタイムで検出できた。
研究成果は、ドイツの科学雑誌『Advanced Functional Materials』(4月23日付)に掲載された。
(詳細は、www.riken.jp)