April, 18, 2018, La Jolla--UCSDの研究チームは、哺乳類細胞で遺伝子をON/OFFする光活性化スイッチを開発した。これは最も効率的な、いわゆる「光遺伝学スイッチ」であり、赤と赤外光で活性化される。設計に成功し、すでに動物細胞でテストされた。また, これは細胞外からセンシング分子を加える必要がない。
光活性化遺伝学スイッチは、遺伝子治療で遺伝子のON/OFFに使える。将来のガン治療では、遺伝子表現をOFFする、また人体の特定場所の遺伝子機能の追跡や理解に役立つ。
カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のバイオエンジニアをリーダーとするチームは、研究成果の詳細をACS Synthetic Biologyに発表した。
「体内深部の特定場所、特定時間に、外部要素を加えることなく遺伝子をコントロールできることが、われわれのコミュニティが長い間追い求めてきた目標である。われわれは、最も望ましい光波長で遺伝子をコントロールしている」とUCSD、バイオエンジニアリング教授、Todd Coleman氏はコメントしている。
研究者のスイッチ作製成功は、2つの洞察に依拠している。まず、動物細胞には、赤い光に感度がある分子を作るために電子を供給する機構はない。外国からヘアドライヤーと電源コンセントを持ち込むようなものである。電源コードもアダプタもない。したがってUCSDポスドク研究者、Phillip Kyriakakis氏は、それらの作製に取りかかった。
電源コードには、バクテリアと植物フェレドキシン、鉄と硫黄タンパク質を使った。これは幾多の反応で電子移動を引き起こす。フェレドキシンは動物細胞に異なる形態で存在するが、その植物やバクテリア類似物との互換性はない。したがって、Ferredoxin-NADPレダクターゼという酵素、つまりFNRが出力アダプタの役割を果たした。
結果的に、動物細胞はエネルギー供給から十分な電子を他の酵素に移動することができた。これによって光活性化スイッチに必要な感光性分子が生成できる。
第2の洞察は、感光性分子を作るシステムが細胞のミトコンドリア、つまり細胞のエネルギー工場におかれる必要があること。
これら2つの洞察を統合することで研究グループは、動物細胞内で赤色光を用いて遺伝子をコントロールする植物システムを作製することができた。
赤い光は、簡単に人の身体を透過するので、遺伝的スイッチを活性化させるための安全な選択である。赤い光は、身体がそれを吸収しないので、透過して光る。他の色はそうではない。また、それは吸収されないので、損傷を与えることなく実際に組織を透過し、体内深くに到達して遺伝子をコントロールする。
バイオエンジニアは、赤と遠赤色光でスイッチを活性化するために小型コンパクトな卓上デバイスを作製しプログラムした。このツールにより研究チームは、光の持続時間をミリ秒まで制御できる。また、特定位置を標的にすることもできる。研究チームは、いくつかの哺乳類細胞株で、短い光パルスの後でさえ、スイッチによって遺伝子が、数時間活性化したままになることを示した。
研究チームは先頃、キャンパス内部の助成金を得て、脳の特定領域で遺伝子の活性化を制御するためにその方法を利用する。これにより、様々な神経疾患での遺伝子の機能理解が向上する。
研究チームは、光活性化分子を作るために必要な酵素を標的にするフェレドキシンとFNRの利用を特許にしている。同技術はライセンスを受けて使用できる。
重要な点は、研究チームによると、動物細胞に植物分子を作る方法についての洞察がいずれ、他の分子の製造を可能にし、肥料を必要としない植物の栽培につながり、バイオ燃料をより効率的に作れるようになることである。
(詳細は、www.ucsd.edu)