March, 5, 2018, Karlsruhe--カールスルーエ工科大学(KIT)とスイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究グループは、これまでで最速の測距技術を実証した。研究グループは、弾丸のプロファイルをマイクロメートル精度で、即座にサンプリングできることを実証した。実験は、シリコンナイトライド(SiN)でできたチップベースのマイクロ共振器で生成されたソリトン周波数コムに依拠している。潜在的なアプリケーションは、高精度のリアルタイム3DカメラやコンパクトLiDARシステムなどである。
数十年前から、レーザ手段、つまりLiDARによる距離測は確立された方法だった。今日、光距離計側法は、広範な新興アプリケーションに適用されつつある。例えば、自律物体、ドローンや衛星のナビゲーション、あるいはスマートファクトリーのプロセス制御。こうしたアプリケーションは、計測速度と精度に関して非常に厳しい要件、また測距システムのサイズが付随する。
研究チームは、こうした課題に共同して取り組み始めた。狙いは、いずれマッチ箱に入るほどの超高速・高精度LiDARシステムというコンセプトである。このコンセプトの基本は、科学雑誌Scienceに発表された。研究チームのアプローチを実証するために、150m/sで飛ぶ弾丸を用いた。「われわれは、飛翔する弾丸の表面構造をサンプリングすることができ、マイクロールの精度を達成した。この目的のために、一秒に1億距離値を記録した、これはこれまで実証された中で最速の距離計測に相当する」とKITのChristian Koos教授は説明している。
このデモンストレーションは、EPFLで開発された、光周波数コムを生成する新しいタイプのチップスケール光源によって可能になった。コムは、微小円形構造、光マイクロプロセッサで生成される。これには、レーザ光からの連続波を注入する。非線形光学プロセスを介して、レーザ光は、安定した光パルスに変換される、つまり散逸カーソリトン(dissipative Kerr solitons)だ。これによって、広帯域光スペクトルを特徴とする規則的なパルストレインを形成する。
このコンセプトは、EPFLのCentre of MicroNanotechnology (CMi)で製造された、高品質で超低損失のシリコンナイトライド(SiN)マイクロ共振器に依存するところが大きい。
距離測で実証された正確さとスピードの組合せは、それ自体、重要な到達点ではあるが、研究チームは、研究をさらに進めて、技術的なアプリケーションに向けて残る課題を除去することを目標にしている。例えば、この方法の範囲は、まだ1m以下に限られている。さらに、今日の標準プロセッサは、計測で生成される大量のデータのリアルタイム評価ができない。今後の活動は、コンパクト設計に集中し、マッチ箱に組み込める高精度距離測を可能にしていく。シリコンナイトライドマイクロ共振器は、すでにEPFLのスピンオフ、LiGENTEC SAが市販している。同社は、SiNベースPICの製造に特化している。
(詳細は、www.kit.edu)