February, 22, 2018, New York--コロンビア大学アービング医療センター(CUIMC)の新しい研究によると、連続的な少量遠紫外(far-UVC)光は、人の組織を損傷することなしに空中浮遊のインフルエンザウイルスを殺すことができる。病院、診療所、学校、空港、飛行機、他の公共スペースで頭上のfar-UVC光の利用は、季節性インフルエンザ流行、インフルエンザの世界的流行を強力に阻止することができることを研究成果は示唆している。
研究成果は、Scientific Reportsに発表されている。
研究者は、数十年前から、波長200~400nmの広域スペクトルUVC光がバクテリア、ウイルスに高い殺菌効果があることを知っている。ウイルスのDNAを結合する分子結合を破壊することによって殺菌するからである。従来のこのUV光は、医療器具の消毒に一般に使用されている。
「残念ながら、従来の殺菌UV光は人の健康にも有害であり、皮膚ガンや白内障を起こすので、公共スペースでは使用できない」と研究リーダー、David J. Brennerはコメントしている。
数年前、研究チームは、far-UVCと呼ばれる狭スペクトルUV光は、健全な組織を損傷することなしに細菌を殺せるのではないかと仮定した。「far-UVC光は、範囲が非常に限られており、人の皮膚の外側死細胞層や眼の涙液層を透過しない。従って、人の健康に害はない。ウイルスやバクテリアは、人の細胞よりもはるかに小さいので、far-UVC光は、それらのDNAに到達し、殺菌することができる」とBrennerは説明している。
もっと前の研究では、Brennerのチームは、far-UVC光がMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)バクテリアの殺菌に効果があることを実証している。MRSAは、手術創感染の一般的な原因だが、人やマウスの皮膚に害を及ぼさない。
インフルエンザウイルスは、インフルエンザに罹っている人が、咳、くしゃみあるいは、話をしている時、主に微細液滴、空中浮遊のアエロゾルで人から人に広がる。新しい研究は、far-UVC光が、空気中のアエロゾル化したインフルエンザウイルスを、公共スペースと同じ設定で、効率よく殺すことができるかどうかをテストする設計とされていた。
研究では、アエロゾル化されたH1N1ウイルス、一般的なインフルエンザウイルス株をテストチャンバに放出し、ごく少量の222nm far-UVC光に晒した。アエロゾル化ウイルスの比較グループはUVC光に触れなかった。far-UVC光は、インフルエンザウイルスを効率よく不活性化した、これは従来の殺菌UV光とほぼ同じ効率であった。
「われわれの結果が他の設定で確認されると、公共の場所における頭上低レベルfar-UVC光は、インフルエンザや結核など、空中媒介微生物病の伝染、蔓延を制限する安全で効率的な方法になる」とBrennerは話している。
1000ドル以下の価格のfar-UVCランプのコストはランプが量産されると確実に低下するが、これは相対的に安価である。「ワクチンと違い、far-UVCは、すべての空中浮遊細菌に効果的である、たとえば新種株に対しても効果がある」と同氏はコメントしている。
(詳細は、http://www.cumc.columbia.edu/)