February, 16, 2018, 大阪--大阪大学レーザ科学研究所の岩田夏弥特任研究員、千徳靖彦教授らの研究グループは、高強度の光と物質の相互作用において、物質が星の内部に匹敵する超高圧のプラズマ状態に加熱され、プラズマの表面張力が光を押し戻すことを、世界で初めて理論的に明らかにした。この理論は、これまでに発表されている実験に新解釈を与えるものである。
従来の高強度レーザのエネルギーでは、光に匹敵する圧力まで物質を加熱することができず、加熱された物質がレーザ光を押し戻す状況に達するとは考えられていなかった。
研究グループは、レーザ科学研究所の最先端の高強度レーザを物質に照射すると、超高圧のプラズマ状態に加熱された物質がレーザ光を押し戻す条件が成立することを、プラズマの表面張力という新しい概念を用いて理論的に解明した。強い光と物質との相互作用の基本的な性質の一つを明らかにした研究成果は、高温・高密度プラズマ中で起こる様々な現象の解明に貢献するものである。レーザ光で超高圧プラズマを生成し、その特性を理解して制御することで、星の内部や宇宙空間に満たされているプラズマが作り出す様々な天文現象を解明し、実験室宇宙物理学※3の進展に寄与することができ、また高効率の粒子加速とその医療応用や、核融合エネルギー開発など革新的な技術の進展に繋がることが期待される。
研究成果は、Nature Communicationsに公開された。
(詳細は、www.osaka-u.ac.jp)