February, 16, 2018, Stanford--スタンフォード大学Ginzton Labの研究チームは、光パラメトリック発振器を改良し、レーザ発光波長の制約を克服した。
これまで、このようなレーザ光源は、セットアップがエラーの余地がないようにするために、ほとんど実験室にとじこれられていた。しかし、直観に反する決断により、研究チームは、この弱点に対するソリューション見いだしたと考えられる。これにより、もっと小さく、ローコストで、より効率的な光パルス光源が実現する見込みである。
研究成果は、Physical Review Lettersに発表された。
チームが研究した光源は、第1段階は次のようになっている。従来のレーザからの光パルスが特殊な結晶を透過して、これまでのレーザでは利用することが困難だった波長範囲に変換される。次に、一連のミラーがフィードバックループ内で光パルスを跳ね回らせる。このフィードバックループが入力レーザパルスと同期するとき、新たに変換されたパルスは統合されてますます強力な出力となる。
これまで、最初の光パルスをそのような仕掛けで所望の出力に変換することはできなかった。しかし実際のアプリケーションで効果を持つには、出力増強の比率を高めなければならなかった。
「われわれは、ミラーの光反射が少なくなるようにつまみを回した。これは標準的なガイドラインに反することであったが、すると、変換効率は2倍になった」。この実験結果は、2年前にOpticaに発表された。
従来の設計でパワーを上げると、2つの望ましくない結果が生ずる。パルスが延び、変換効率が落ちる。しかし新デザインでは,ミラーの反射性を著しく下げ、反対のことが起きた。
シミュレーションと実験を重ねた後、要点は単にミラーの反射性を下げることではなく、フィードバックループを長くすることでもあることが分かった。これによって光パルスがそのループを完了するまでの時間を延ばし、パルスをスローダウンした。しかし、反射性を低下させることは、時間遅延と相俟って、予想外の仕方でパルスを相互作用させ、これによってパルスは、入力パルスと同期した。
この予想外の同期が、出力パルスの帯域を2倍以上にした、すなわち従来のレーザでは利用することが難しい範囲内で広い波長スパンを出力することができる。空中で分子を検出し、あるいは人の呼気を検出するようなアプリケーションでは、より広帯域の光源が、より明確に分子を分解できる。原理的に、このシステムが生成するパルスは、18 fsまで圧縮できる、すなわち分子の振る舞いの研究に使用できる。
ミラーの反射性を下げる決断は、驚くべき結果を生み出した。以前の骨の折れるデバイスをよりロバストに、より効率的に、従来のレーザでは利用が難しい波長帯域で超短光パルス生成を改善したのである。
次の課題は、掌に入るデバイスを設計することである。
新発見のデザイン柔軟性により、そのようシステムをチップ上で微小化することは容易である。これは、分子の検出、リモートセンシングなど、多くの新しいアプリケーションにつながる。
(詳細は、www.stanford.edu)