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パルスレーザ光により強磁性と強誘電性が同時かつ瞬時に発現

February, 9, 2018, 東京--東京大学の研究チームは、特殊な物質群で生じる、強磁性(永久磁石)と強誘電性(分極が揃った状態)が共存するマルチフェロイクス状態を、レーザ光の照射によって1兆分の1秒以下という非常に短い時間で発現させることに初めて成功した。
 物質内部のミクロな磁石の向きがそろった強磁性体や、プラスとマイナスの電荷のずれ(電気分極)の向きがそろった強誘電体は、強磁性体では外部磁場、強誘電体では外部電場によって向きを制御できることから、メモリ素子などに広く応用されている。近年、この強磁性と強誘電性の両方の性質を併せ持つ、マルチフェロイクスと呼ばれる特殊な物質群が注目されており、外部電場によって磁石の性質を変化させるなど、新しい原理に基づくメモリやセンサなどへの応用が期待されている。しかし、外部電場や外部磁場の切り替えは高速な制御が難しいという課題があった。一方、光は極短パルス光技術の進歩により、けた違いに高速な操作が可能である。
 研究では、パルス幅の非常に短い超短パルスレーザ光を物質に照射することによって、1兆分の1秒以下の非常に短い時間でマルチフェロイクス状態を発現させることに初めて成功した。この発現の確認には、光の進む方向によって光吸収の大きさが異なるという方向二色性と呼ばれるマルチフェロイクス特有の現象を用いた。この研究結果は、マルチフェロイクスを使った様々なデバイスの高速化や光制御デバイスへの応用の道を拓くものであり、超高速メモリ技術や、高速光スイッチなどへの応用が期待される。
 研究成果は、Nature Physicsに発表されている。論文タイトルFemtosecond activation of magnetoelectricity (https://www.nature.com/articles/s41567-017-0036-1)

(詳細は、www.s.u-tokyo.ac.jp)