February, 6, 2018, 東京/京都--京都大学 大学院理学研究科の武田和行准教授、東京大学 先端科学技術研究センターの宇佐見康二 准教授らの国際共同研究グループは、光による核磁気共鳴(NMR)の新しい検出法を開発・実証した。
NMRは、物質中の原子核が持つミクロな「磁石」が、物質の性質や構造を反映して振る舞う様子を捉えて物質を分析する有用な手段で、化学分析に威力を発揮しているだけではなく、NMRの原理を応用した磁気共鳴画像(MRI)診断は医療現場に欠かせないツールとなっている。NMRの信号は、原子核内の磁石の運動により発生する電気信号を増幅することで得られるが、電気信号を増幅する際には必然的に新たな雑音が付け加わり、測定の感度が制限される。
研究グループは、電気―機械―光ハイブリッド量子技術を用いて高周波電気信号をレーザ光へ変換することができる独自のNMR実験システムを開発して、薄膜機械振動子を介したNMR信号の光検出に初めて成功した。今回のレーザ光NMR信号検出法は、通常のNMRやMRIで測定・撮像されている対象にそのまま適用可能で、かつ信号の受信過程における雑音の混入を極めて少なくできるため、化学分析およびMRI診断の高感度化に役立つことが期待される。
研究成果は、2018年2月1日付(米国東部時間)発行の米国科学誌Opticaに掲載された。
(詳細は、www.jst.go.jp)