January, 30, 2018, Champaign--イリノイ大学(University of Illinois)の研究チームは、音波を使ってコンピュータチップに搭載できるほどに超微細な光ダイオードが造れることを実証した。
このデバイスは光アイソレータと呼ばれるものであり、フォトニック集積回路(PIC)の主要なデータ容量とシステムサイズの問題解決に役立つ。PICは、光ベースの電子回路、コンピューティングや通信にに使用される。
アイソレータは、非相反的、つまり電子ダイオードと同じ「一方向」デバイス。光アイソレータは、戻り光からレーザ光源を保護し、光ネットワークで光信号のルーティングに必要とされている。今日、そのような相反的デバイスを造る主要技術には、磁界に応じて光特性を変える材料が必要になる。
研究の共著者、機械科学・工学教授、Gaurav Bahlによると、フォトニックチップで光の一方向の流れを達成するために磁気応答材料を用いることにはいくつかの問題がある。「まず、コンパクトな磁石をチップに搭載することができない。しかしもっと重要なことは、必要な材料がフォトニクスファウンドリにはない。これは業界が、従来の材料だけを使い、磁界を完全に回避する、よりよいアプローチを是が非でも必要としている理由である」。
Nature Photonicsに発表された研究では、研究チームは、光と音との微小な結合をどのように利用して、ほぼどんなフォトニック材料でも非相反的デバイスを可能にする独自のソリューションを実現できるかを説明している。
とは言え、研究チームによると、デバイスの物理的なサイズと材料の入手可能性だけが現在の最先端の問題ではない。
「コンパクトな光アイソレータを造ろうとしている研究室は常に、大きな光損失に悩まされてきた。光産業はこの材料関連の損失を許す余裕はなく、従来の磁気技術に匹敵する帯域を提供するソリューションも必要としている。これまでのところ、優位性のある磁気レスアプローチは存在しなかった」と論文の筆頭著者、Benjamin Sohnは説明している。
新しいデバイスわずか200×100µmサイズで、AlN(窒化アルミニウム)でできている。これは透明材料で、光を透過し、フォトニクスファウンドリに適合する。「音波は、圧電スピーカーに似た方法で作られる。つまり、電子ビームでAlNに直接描き込んだ微小な電極を使用する。デバイス内で光を一方向に進めるのはこの音波である。磁気レスアイソレータがギガヘルツ帯域を超えたのこれが初めてである」(Sohn)。
研究チームは、このアイソレータの帯域、つまりデータ容量を増やす方法を探しており、それができると考えている。完成すれば、光通信システム、ジャイロスコープも、GPSシステム、原子時間管理やデータセンターで変革的なアプリケーションが考えられる。
(詳細は、www.illinois.edu)