January, 18, 2018, Cambridge--集光にナノ構造を利用する平坦面、メタレンズは、現在光学デバイスで使用されている大きく湾曲したレンズをシンプルなフラット面で置き換えることによってオプティクスに変革を起こすことが約束されている。しかし、これらのメタレンズは、十分に集光できるスペクトルに限界がある。
Harvard John A. Paulson School of Engineering and Applied Sciences (SEAS)の研究チームは、同位置スポットに、高解像度で、白色を含む全可視光スペクトルを集光できる初のシングルレンズを開発した。これは、従来のレンズでは、これまで多数のレンズをスタックすることによってのみ達成された。
研究成果はNature Nanotechnologyに発表された。
全可視光と白色光、スペクトルのすべての色の組合せを集光することは、個々の波長が異なるスピードで材料を進むので、極めて難しい。例えば、赤色波長はガラスの中を青色よりも速く進む、したがって2つの色が同一点に達する時間は異なり、焦点が違う。これは、色収差として知られる画像の歪になる。
カメラや光学機器は、異なる厚さと材料の多数の湾曲レンズを使ってこの色収差を補正する。もちろん、デバイスサイズが大きくなる。
従来のレンズに対するメタレンズの優位性についてSEASのFederico Capassoは、「メタレンズは薄く、製造しやすく、コスト効率がよい。このブレイクスルーにより、そうした優位性が光の可視域全体に広がる。これは大きな前進である」とコメントしている。
研究チームは、二酸化チタンナノフィン(nanofins)アレイを使い、光波長を等しく集光させ、色収差をなくす。以前の研究では、ナノフィンの形状、幅,距離、高さを最適化することで光の異なる波長が集光できることが実証されたが、距離が違っていた。最新の設計では、研究チームは、光の異なる波長のスピードを同時に制御する対になったナノフィンユニットを作製した。ナノフィンペアは、メタサーフェス上で屈折率を制御し、異なるフィンを透過する光の時間遅延が違うように調整し、焦点スポットに到達するすべての波長が確実に同時になるようにした。
「色収差のないブロードバンドレンズの設計で最大の課題の1つは、メタレンズのすべての異なる点から出る波長が確実に同時に焦点に到達することである。2つのナノフィンを1つの素子に統合することで、ナノ構造材料における光の速度を調整することができる。これにより、単一のメタレンズを使用して、可視光のすべての波長を同じ点に集光させる。これは、複合的な標準の色収差のないレンズと比較して、厚さと設計の複雑さを劇的に低減する」とWei Ting Chenは説明している。
次のステップでは、研究チームは、レンズを約1㎝径にすることを狙っている。これにより多くの新しい可能性、VR/ARアプリケーションが開ける。
(詳細は、www.seas.harvard.edu)