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小型光周波数コムを量子データ暗号に利用

January, 18, 2018, Los Angels--USC Viterbi工学部の研究チームによる新設計の周波数コムは、データ暗号化の効果的なツールになる。
 研究チームは、周波数コムを実現する新方法を開発した。これは、単一波長を多波長に変換し、単一レーザから数万のレーザを効果的に実現することでレーザの潜在的なアプリケーションを増やすツールである。この新しい周波数コムは、人の髪の毛のサイズであるが、従来の周波数コムはアパートの冷蔵庫程度である。さらに重要な点は、新開発のコムは,動作パワーが1000倍少なく、モバイルアプリケーションを可能にすることである。
 現在の最先端技術は、マイクロエレクトロニクスで従来使用されていた材料系、シリコンなどに依存している。これらの材料系をカーボンベース、あるいは有機分子に置き換えることで、研究チームは根本的に異なるアプローチを探求した。単一の25原子有機分子層をレーザ表面につけることで、1000倍省電力の周波数コムが実証された。
 同大学Andrea M. Armani教授は、「有機光学材料は、すでにエレクトロニクス産業を変革しており、これによって軽量、低消費電力のTVsや携帯電話ディスプレイが実現しているが、これらの材料とレーザを直接インタフェースしようとする従来の試みは躓いた。われわれは、そのインタフェースの課題を解決した。われわれのアプローチは,幅広い有機材料とレーザタイプに適用できるので、今後の可能性は非常に素晴らしい」とコメントしている。
 周波数コムの最初のアプリケーションは、微量の化学物質の検出と正確な時間管理に焦点を当てていた。しかし、最近、社会的に大きな意味がある新しいアプリケーションが出現した、量子暗号である。
 周波数コムがどのように貢献するか。答は、データの伝送法、量子暗号の機能にある。
 データ信号が送り先に進むとき、それは封をした封筒の手紙のようにパッケージされている。
 量子暗号は、複雑なカギを実装しているだけでなく、侵入は、伝送されるデータ信号の変化によって直ちに明らかになる。
 量子暗号を可能にする多くの戦略が追求されているが、主流となる候補の1つは、フォトンエンタングルメントという現象をベースにしている。エンタングルしたフォトンペアは,正確に同じ時間、正確に同じ特性で作られなければならない。ここに周波数コムが登場する。
 周波数コム形成の第1段階が起きるのは、主レーザが第2の波長ペアを生成するときである。しかし,エネルギー保存のために、1つの波長のエネルギーが高く、他方の波長のエネルギーが低くなければならない。付け加えると、これらのエネルギー総和は正確に主レーザと同じでなければならない、また2つの新しい波長は正確に同時生成しなければならない。したがって、周波数コム生成器は、エンタングルフォトン生成器と見なすことができる。
 周波数コムのサイズとパワー要件を低減することは、重要な技術的ハードルであったが、ポータブルプラットフォームで量子暗号がありふれたものになるまでに残っている多くの集積と製造課題がある。
 Armaniは、将来われわれのヘルスケア情報で量子暗号が果たす重要な役割だけでなく、周波数コムがガンバイオマーカーの検出改善にも利用されることを指摘している。
(詳細は、https://viterbischool.usc.edu)