December, 27, 2017, Minnesota--ミネソタ大学がリードする研究チームは、実物そっくりの人工器官モデルを3Dプリントした。これは正確に解剖学的構造、機械的特性を真似たもので、見ても触っても実際の器官のようである。この特定患者向け器官モデルには、ソフトセンサが組み込まれており、外科手術に使用して、世界中で数千の患者の手術結果を改善することができる。
研究成果は、Advanced Materials Technologiesに発表された。研究チームは、この技術の特許を申請している。
「われわれは、術前練習用に次世代器官モデルを開発している。特性3Dプリンターを使って3Dプリントする器官モデルは、個人の器官の外見や手触りで、ほぼ完璧なレプリカである」と研究リーダー、Michael McAlpineは説明している。
研究チームは、最初、ワシントン大学泌尿器科医、Dr. Robert Sweetと接触した。Dr. Sweetは、手術のためにより正確な3Dプリントされたモデルを探していた。
現在、ほとんどの3Dプリント器官モデルは、硬いプラスチックまたはゴムを使って造られる。これは、手術中の器官の物理的挙動の正確な予測、複製のアプリケーションを制限する。生物学的器官と比べると、こうした器官の外見や手触りに大きな違いがある。硬すぎて切断や縫合できない。また、定量的なフィードバックもできない。
この研究では、3患者の前立腺からの組織サンプルをMRIスキャンした。組織をテストし、特殊なシリコーンベースのインクを開発した。インクは、個々の患者の前立腺組織の機械的特性に正確に一致するように「調整」できる。この固有のインクを研究チームは特注3Dプリンターで使用した。次に、3Dプリントしたソフトセンサを器官モデルに取付け、圧縮テスト、様々な手術器具を適用した際のモデル前立腺の反応を観察した。
「医師は、組織に損傷を与えることなく手術中にどの程度の力を加えることができるか、センサからリアルタイムフィードバックを得ることができる。これは、個人化医療や術前プラクティスについての医師の考え方を変えることができる」とミネソタ大学機械工学ポスドク研究者、論文の筆頭著者、Kaiyan Qiuはコメントしている。
将来的には研究チームは、この新しい方法、たくさんのインクを使って、もっと複雑な器官の実物そっくりのモデルを造りたいと考えている。例えば、器官に腫瘍、あるい奇形があるとき、医師は、患者固有のモデルでそれを見ることができ、腫瘍を除去したり、合併症を矯正するために様々な戦略をテストすることができる。また今後、外科診断以外のアプリケーションの開発も考えている。
McAlpineは、「こうした組織や器官の機能を複製できるなら、いずれ、移植用の生体器官でさえ造れるだろう。これをHuman Xプロジェクトと呼んでいる。SFのように聞こえるかも知れないが、こうした合成器官が外見、手触り、機能が実際の組織、器官のようであれば、実際の器官を置き換えるためにそれらをオンデマンドで3Dプリントしない理由はない」と話している。