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ナノ光ファイバの偏光におけるカイラリティを解明

December, 26, 2017, 仙台--東北大学電気通信研究所のマーク・サッドグローブ准教授、菅原大和大学院生、三森康義准教授、枝松圭一教授らの研究グループは、ナノ光ファイバにおける光の進行方向と偏光とが結合したカイラリティの性質を明らかにすることに成功した。このようなカイラリティをもつ光ファイバは、将来の量子光通信ネットワークにおいて重要な働きをするものと期待される。

発表の要点
・非常に細い光ファイバ(ナノ光ファイバ) における偏光と光の方向性との関係(カイラリティ)を詳細に計測することに成功。
・この特性を用いると、ナノ光ファイバにおける光子の方向性を制御することができ、将来の量子ネットワーク技術への応用が期待される。

 ナノ光ファイバと呼ばれる非常に細い光ファイバが開発され、その中を伝搬する光においては、カイラリティが重要な役割をもつことが指摘されている。特に、ナノ光ファイバの近傍で発生した光が右回りあるいは左回りのどちらの偏光をもつかによって、光ファイバのどちら側へ伝搬していくかが決定される現象が発見され、たいへん注目されている。ナノ光ファイバの持つこのような性質を用いると、送信者から受信者へ向けて送信方向を確定した単一の光子を送ることができるため、将来の量子光ネットワークにおいて重要になると考えられている。
 東北大学の研究グループは、ナノ光ファイバを作製してその表面に金のナノ粒子を付着し、金ナノ粒子を「光アンテナ」として用いて、外部のレーザ光をナノ光ファイバに導入した。このような細いナノ光ファイバにおいては、自由空間の光とは異なる特殊な偏光の伝搬状態が存在し、それによるカイラリティが実現される。実験では、入力するレーザ光の偏光状態を様々に変化させ、ナノ光ファイバに導入された光がファイバのどちら側へ伝搬していくかを精密に測定した。任意の偏光状態に対する伝搬の方向性、すなわちカイラリティの完全なマッピングに初めて成功した。
 サッドグローブ准教授は「ナノ光ファイバにおけるカイラリティは数年前に発見されたが、われわれはその特性を完全に明らかにしたかった」と話している。
 この成果は、Scientific Reportsに掲載された。
(詳細は、www.tohoku.ac.jp)