December, 20, 2017, University Park--ペンシルバニア州立大学(Pennsylvania State University)の研究者は、市販の3Dプリンターを使って生体組織を成長させるための構造骨組を造る方法を考案した。
生体医療工学准教授、Justin L. Brownは、「われわれは、セメントの鉄筋のように、ファイバで強化された幹細胞搭載ハイドロゲルを造ろうとしている。ある構造をゲルに使うことができると、われわれは所定のパターンで生体細胞を成長させることができ、最終的にファイバは消失しなくなる」と説明している。
研究チームが、Advanced Healthcare Materialsに発表した報告によると、研究チームの目的は、再生医療のために、新しいローコストで、効率的な方法を利用して高分解能で反復可能な3Dポリマファイバパターンを非導電材料にホビィストレベルの3Dプリンターで作製すること。使う方法は,3Dプリンティングとエレクトロスピニングの組合せであり、電荷を使ってポリマ溶解あるいは溶液のいずれかから、ナノメートルの糸を紡ぐ。
現在、ほぼ全ての複雑な代替組織は、心臓や腎臓から腱まで、生きたあるいは死んだドナーから得ている。研究チームは、安価な方法を使って、代替組織を高信頼に成長させる方法を見つけようとしている。生体医療用スカフォールド作製に3Dプリンティングとエレクトロスピニングの組合せは、例えば、筋肉と腱、あるいは腱と軟骨の組合せを可能にするかも知れない。
「包括的な考えでは、コラーゲンゲルやバイオプリンティングでエレクトロスピニングを多重することができれば、骨や軟骨など大きく、複雑な組織のインタフェースを構築することができる。マイクロ押出バイオプリンターを使ってこのような組織の組合せを造った研究者も存在する」と博士課程学生、Pouria Fattahiは話している。
これらの現状の戦略は、異なる組織を別々に作って、ある種の接着剤、コネクタを使って後でそれらを組み合わせる。しかし、体内では、そのような軟骨や骨、腱や筋肉などの組織はシームレスに成長して統合される。
研究チームの装置は、エレクトロスピナを使って、3Dプリンターの押出ノズルを置き換える。プリンターは、3Dでファイバの正確なパターンを堆積し、ハイドロゲルに細胞が成長できるスカフォールドを形成する。組織が十分に成長すると、スカフォールドは分解でき、利用に適した構造化された組織だけが残る。
2つの異なる組織、筋肉と腱が必要なら、3Dプリンターは、適切な細胞で移行がシームレスに行われるように糸のパターンを変え、結果的に2つの部分の組織代替が自然に形成される。
現在、研究チームは、1立方インチ足らずの組織に取り組んでいるが、有用性はある。
「全十字靱帯(ACL)は、長さ2~3㎝、幅は1㎝にすぎない」とFatthiは言う。
ニアフィールドエレクトロスピニングを使い、研究チームは、ミクロンおよびナノメートル範囲で初めて超薄型糸を作製した。次に研究チームは、そのファイバ上に細胞を成長させ、最終的にパターン化された糸を細胞に搭載したコラーゲンゲルに堆積できることを示した。
(詳細は、www.psu.edu)