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XFELを用いて原子核超放射を観測

December, 15, 2017, 和光--理化学研究所(理研)放射光科学総合研究センター バロン物質ダイナミクス研究室のアルフレッド・バロン主任研究員らの国際共同研究グループは、X線自由電子レーザ(XFEL)施設SACLAにおいて、原子核の集団からの「超放射」と呼ばれる量子力学的現象を観測し、今から60年以上前に提唱された基礎的な理論の検証に成功した。
 1954年、ロバート・ディッケ(R. H. Dicke)は「超放射」と呼ばれる量子力学的現象を予測した(“Coherence in spontaneous radiation processes”, Phys. Rev. 93, 99)。通常、光子などの量子を吸収して励起状態になった孤立原子は、ある時間が経過した後、量子を放出して基底状態へ戻る。これを「自然放射」という。これに対して超放射は、同時に励起された多数の原子が一斉に量子を放出する現象で、量子放出までの時間(励起された原子の寿命)が自然放射よりも短くなるとともに、放射強度は高くなる。
 今回、国際共同研究グループは、SACLAの強力なコヒーレントX線パルスによって共鳴励起された多数の鉄原子核(57Fe)からのX線放射の時間推移を観測した。その結果、放射されるX線量が増えるにしたがって最初のX線光子放出までの時間が劇的に短くなる「超放射」現象を捉えた。
 この研究では、放射X線の計数を1光子単位で行うことにより、まさに最初の光子が放出されるまでの時間を知ることができた。この優れた方法により、ディッケの理論を厳密に検証することができた。
 この研究成果は将来、XFELや次世代放射光といった強力なX線を利用した観測の結果を解釈する上で重要な役割を果たすと期待できる。
(詳細は、www.riken.jp)