December, 5, 2017, 福岡--ディスプレイなど非常に広く産業利用されている液晶分子について、これまでの概念を覆す新しい計測・解析手法を用いて、液晶分子に紫外線光を当て分子が動く様子を直接観察することに世界で初めて成功した。
研究グループは、岡山大学大学院自然科学研究科(工)の羽田真毅助教、林靖彦教授、京都大学大学院理学研究科の齊藤尚平准教授、筑波大学計算科学研究センターの重田育照教授、九州大学大学院理学研究院の恩田健教授。
これまで、液晶分子の立体構造を決定し、その機能の元となる分子運動を理解することで、より高精度かつ広範囲な液晶材料の開発が可能になると期待されていた。しかし、液晶中の炭素鎖に埋もれた分子骨格の高速な動的挙動を直接的に構造解析する手法は全く存在せず、液晶分子の運動を解析する新しい手法の確立が求められてきた。
共同研究グループによる、時間分解電子線回折法と時間分解赤外分光法を組み合わせた液晶分子の構造解析と動的挙動の直接観察は、これまでの概念を覆す新しい計測・解析手法。また、光照射後1~100ピコ秒(ps)程度の時間スケールにおいて発現する励起状態芳香族性を観測し、理論計算でその妥当性を確認したことは、この物質を基にした光機能性分子材料の設計方針に重要な知見を与えるものになる。この研究手法は、光応答性・機能性の液晶分子やソフトマテリアル※5の構造決定を革新する測定・解析手法として応用展開が期待される。
研究成果はJournal of American Chemical Societyに公開された。
(詳細は、www.kyushu-u.ac.jp)