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ワイヤレスハンドヘルド分光計、スマホにデータ転送

November, 22, 2017, Washington--一般的なカメラで撮るよりも多くの色情報を含むスペクトル画像は、裸眼では見えない組織や他の生体試料の特性を明らかにする。鉛筆のように握る新しいスマートフォン対応デバイスで、日常的なもののスペクトル画像取得ができ、最終的には遠隔地のポイントオブケア(POC)診断に使える可能性がある。
 新しいデバイスの可能なアプリケーションには、人の血中の酸素飽和度の検出、食品店の肉の鮮度判定、完熟果物の特定などが含まれる。この分光計は、科学研究用に現場のデータ取得も容易にする。
 研究成果は、Biomedical Optics Expressに発表されている。同論文によると、研究者はバナナ、豚肉、人の手のスペクトル画像が取得できることを実証した。その新しいデバイスは、同時に186スポットで、400~676nmの波長を検出できる。
 新しい分光計は、市販のCMOSカメラを使用し、ワイヤレスで画像をスマートフォンに伝送する。このアプローチにより研究者は、140 g、直径3㎝、スマホ程度の長さの円筒形スペクトルイメージングデバイスを組み立てることができた。
 鉛筆のような新しい分光計は、300ドル以下で購入できるすべて市販の、コンポーネントを使用する。光源は、白色LEDsアレイ。これはスぺとクルイメージングに必要なCMOSディテクタ付で、市販の光学レンズチューブおよび他の光学コンポーネントに接続している。
 この鉛筆のような分光計は、標的とするエリアで動かすだけで利用できる。この手動スキャニングで一連のスペクトル画像が作成され、それらがスマートフォンまたはコンピュータに送られる。そこでソフトウエアがスペクトル画像をスティッチングして3Dスペクトル画像データキューブにする。
 研究チームは、バナナの成熟度、豚肉のミオグロビンレベルの検出にそれを使って分光計をテストした。また、人の手をスキャンするためにも使用し、200のスペクトル画像を含む16秒のビデオを作成した。3Dスペクトル画像から研究チームは、5本の指と手のひらを区別することができ、手の様々な部分でヘモグロビン分布の違いを見た。
 研究チームは、そのコンパクトな分光計を環境モニタリングに使用することにも関心を抱いている。「われわれは広範な海洋調査に使用できる分散型スペクトルカメラを開発している。例えば、水に溶解性有機物、色素を検出する。これは、有害な藻類の異常発生の早期シグナルを示すものである。イメージング分光計は、どんなタイプのカメラにでも接続できるので、遠隔の海洋センシングシステム実現のために自律走行船のカメラにそれを取り付けることも検討している」と論文の筆頭著者、海南大学のFuhong Caiは話している。
 研究チームの北京化工大学のDan Wangは、「長い焦点長のレンズを持つ高性能カメラを利用することでスペクトル分解能を大きく改善できると考えている。このような改善により、デバイスのアプリケーションは拡大する」とコメントしている。