November, 16, 2017, Nottingham--ノッティンガム大学(University of Nottingham)の研究チームは、フル機能電子回路を素早く3Dプリントする画期的な方法を開発した。
電気伝導金属インクと絶縁ポリマインクを含む回路が、単一のインクジェトプリンティングプロセスで製造できるようになった。このプロセスではUV光がインクを素早く凝固させる。
この画期的な方法は金属やプラスチックを含む多重材料から3Dアンテナ、完全にプリントされたセンサを製造するエレクトロニクス産業に道を開く。
新しい方法は、2Dプリントエレクトロニクスとアディティブマニュファクチャリング(AM)を統合している。これは、多機能アディティブマニュファクチャリング(MFAM)の影響を広げるものである。MFAMは、多様な機能を持つコンポーネントを実現するために、単一のAMシステムで多重材料をプリントする。
新方法は、複雑な構造にプラスチックと金属コンポーネントを持つ完全機能デバイスの製造の課題の一端を克服する。このような構造では、各材料を固めるために多様な方法が必要とされている。既存システムは一般に1種類の材料を使うだけである。これは、プリントされた構造の機能を制約することになる。伝導体と絶縁体のように2つの材料を持つと、エレクトロニクスの機能範囲が広がる。たとえば、圧力センサとワイヤレス通信回路を含むリストバンドを単一のプロセスでプリントして装着者向けにカスタマイズすることができる。
ブレイクスルーによって、導電性インクの凝固プロセスが、レイヤあたり1分以下にスピードアップされている。以前は、このプロセスは著しく長い時間がかかった。オーブンやホットプレートなど従来型熱源を使っていたからである。これは、数100層を必要とする物体を形成するには非実用的である。また、電子回路やデバイスの製造は、現在の製造法の制約を受けている。現状の製法は、形態、これらのシステムの潜在的なパフォーマンスの両方を制限する。
「単一の構造で伝導性と誘電体材料(電気絶縁体)をインクジェットプリンティングの高い精度で3Dプリントできることにより、完全カスタマイズの電子コンポーネント製造が可能になる。回路設計でコンデンサに標準値を選択する必要はない、値を設定するだけでプリンターが所望のコンポーネントを作製してくれる」と材料工学教授、Chris Tuckは、ブレイクスルーの潜在力を説明している。
CfAMチームのDr Ehab Salehは、伝導性インクの銀ナノ粒子がUV光を効率よく吸収できることを発見した。吸収されたUVエネルギーは熱に変換され、その熱が伝導性インクの溶剤を蒸発させ、銀ナノ粒子を溶融する。このプロセスは、伝導性インクだけに影響を与える、したがってプリントされた隣接のポリマを損傷しない。研究チームは、同じコンパクトな、低コストLEDベースUV光を使って、同じプリンティングプロセスでポリマインクを固体に変え、多重材料3D構造を形成する。
技術の進歩により、インクジェットプリンティングは、広い範囲の機能インクを堆積させる。生物学、組織バイオプリンティング、多酵素インクジェットプリンティング、多様なタイプの細胞プリンティングで利用される。
(詳細は、www.nottingham.ac.uk)