November, 13, 2017, 厚木市--神奈川工科大学とDIC株式会社は、近赤外蛍光色素を用いて3Dプリンター造形物内に情報を埋めこむ新技術の開発に成功した。これにより、3Dプリンター造形物の高付加価値化が可能となり、3Dプリンターの新たな応用・活用が期待できる。
神奈川工科大学とDICによって開発された技術では、3Dプリンターがモノを製造するとき、同時にその内部に情報を表すパターンも成形するため、余分な工程や部品を必要とせず一般ユーザーでも利用可能となる。
この技術で使用する3Dプリンターは、樹脂系の2種類の材料を同時に使用できる2ヘッドを備えたもので、一方のヘッドから本体を造形する材料を噴出し、もう一方のヘッドで情報を表すための内部パターンを形成する材料を噴出する。
3Dプリンターでは、設計図に相当する3DCADデータに従って自動的にモノが製造されるので、内部パターンの形状も3DCADデータに含まれていれば、1回の製造プロセスのなかで内部パターンも同時に形成され、情報埋め込みのための余分な工程や部品を必要としない。
この技術の特徴は、情報を表現する内部パターンを、近赤外蛍光色素(DIC開発)を含有させた樹脂材料で形成する点にある。
この蛍光色素は、特定の波長λAの近赤外線を照射すると、これとは異なる波長λBの近赤外光を発光する。近赤外線は樹脂系材料を透過するので、光を発する内部パターン像を外部で明るい像として撮像できる。また、パターンが発する光と光源の光は波長が異なるので、フィルタを使い光源光をカットしてパターンから出た光のみを撮像することで、ノイズのないパターン像が得られる。また、直接文字を表現するパターンや、QRコードのように符号化されたパターンも可能である。