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近赤外光を用いた水からの水素発生反応の実証試験に世界で初めて成功

October, 31, 2017, 福岡--九州大学大学院理学研究院/カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(WPI-I2CNER)/分子システム科学センターの酒井健教授、山内幸正助教、辻優太郎理学府修士課程学生と山本啓也理学府博士課程学生らの研究グループは、非常に低エネルギーである近赤外光を用いて、水から水素を発生させることに世界で初めて成功した。
 太陽光を利用した水からの水素エネルギー製造はクリーンで再生可能であるという点で、昨今のエネルギー問題の有力な解決技術として盛んに研究が行われてきたが、従来モデルでは、波長が600 nmまでの可視光領域しか利用することができず、十分に太陽光エネルギーを活用できないという状況が続いていた。
 研究グループは、分子内に3つのルテニウム中心を含有する金属錯体を光捕集分子として採用することで、近赤外光を用いた水素発生反応に世界で初めて成功した。これは従来のモデルよりもおよそ2倍の太陽光エネルギーを利用可能にしたという点で非常に興味深い結果であると言える。また天然の光合成でも利用が難しい長波長域の光を、人工分子システムで初めて利用可能にしたことから、今後の実用可能な人工光合成システムへの応用が期待される。
 研究成果は、「Angewandte Chemie International Edition」に掲載された。
(詳細は、www.kyushu-u.ac.jp)