Science/Research 詳細

プラズモンナノ構造、光触媒のプラットフォーム

October, 26, 2017, San Francisco--多機能ナノスケール構造を構築する方法を見いだしたライス大学(Rice University)の研究チームは、光のエネルギーを捉えて利用する金、銅、アルミニウム、銀および他の金属の個別ナノスケール塊を利用しようとしている。
 その構造は、アルミニウム核を持ち、さらに小さな金属アイランドが散りばめられている。材料の全てが局所化された表面プラズモン共鳴を維持している、つまり光が粒子に当たると活性化するナノ構造内の電子の共鳴である。
 電子密度内のこのナノスケール共鳴は、化学反応、反応促進触媒の原動力にさえなり得る。
 ライスの材料科学者、Emilie RingeとNaomi Halasがラボで開発した技術は、アルミニウムナノクリスタルを、局所化された表面プラズモン共鳴を可能にするサイズ可変遷移金属アイランドのベースとして使用する。アルミニウムは、効果的なプラズモン材料であるが、周期表の3つの列から小さな触媒粒子を加えと、光エネルギーによって化学反応を促進する構造の能力が強化される。
 その技術により、1つの材料でカスタマイズ可能な界面化学と反応性が可能になる、と研究者は説明している。それは光触媒、表面増強分光計測、量子プラズモニクスに使える。光の量子特性、ナノ粒子とどのように相互作用するかの研究である。
 研究チームによると、この一般的ポリオール技術は、多数の材料をシンプルで、制御可能なプロセスで統合するために使用できる。
 論文の筆頭著者、Dayne Swearerと研究チームは、二段階合成法を利用した。これは、アルミニウム先駆体を50~150nm幅の生成アルミニウム粒子に還元することから始まる。粒子をエチレングリコールに浮遊させ、金属塩先駆体を加え、溶液を煮詰めて塩を減らす。塩は、最終的に核、ナノアイランドになる。これらは、最初のアルミニウムナノクリスタルの表面を飾る。
 研究チームは、電子顕微鏡を使うことで、2~4nmの生来の酸化アルミニウム層がアルミニウムナノクリスタルと触媒ナノアイランドを分けていることを確認した。さらに、研究チームは電子断層撮影を使って、1個のアルミニウムナノクリスタル上に500を超える個々のルテニウムナノアイランドのサイズと位置を特定することができた。
 「酸化アルミニウムの薄い層が2つの物質を分離しているので、われわれは、それらの特性を独立に調整して、将来のアプリケーションのニーズに適合させることができる」とSwearerはコメントしている。
 研究室では、その方法を使ってアルミニウムナノクリスタルを鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム・ロジウム、プラチナ、パラジウム、イリジウムで装飾した。アイランドは、幅2nm、サイズは15nmだった。
 アルミニウムとプラズモンアイランドを結合する特注デザインデバイスは、求められている反応開始を容易にする、とRingeは指摘している。
 アイランドのサイズが小さいので、大きなナノ粒子よりも光吸収が向上し、ホットエレクトロンを生成し、それらを触媒用の標的分子によりよく注入できるようになる。
 「合成を利用して、周期表から金属や半導体の複雑な組合せを作ることさえ可能である。個々の新しい組合せを研究すると複数のアプリケーションの可能性が見込める」とSwearerはコメントしている。
(詳細は、www.rice.edu)