October, 25, 2017, Cambridge--ハーバード大学Harvard John A. Paulson School of Engineering and Applied Sciences (SEAS)の研究チームは、テラヘルツ周波数を生成するために赤外周波数コムを使う可能性を研究している。
電波と赤外光の間のこの周波数は、通信やセンシングの変革に有望であるが、光源にするには非常に難しい。最近発見されたレーザ状態を利用することで、SEAS研究者は量子カスケードレーザ(QCL)に赤外周波数コムを発見した、これはテラヘルツ周波数生成の新しい方法である。
ハーモニック周波数コムと言われるこの新しいシステムは、従来の周波数コムよりも数10倍大きく、精密な間隔のスペクトルコムを生成する。この大きくて精密なスペーシングにより、これらの光モードは、共鳴し合い、極めて純度の高いテラヘルツトーンを生み出す。研究成果は、Nature Photonicsに発表済み。
「最近まで、マルチモードレーザは、通常、キャビティの全ての可能な周波数で発振すると考えられていた。ハーモニック状態では、多くのキャビティ周波数がスキップされる。もっと驚くべき事は、この発見が、未利用の電磁スペクトル域、つまりテラヘルツに予期しない機会を開くということである」と論文のシニアオーサ、Federico Capassoはコメントしている。
従来の周波数コムでは、レーザキャビティの特徴的な長さによって歯は小さな周波数で分離されている。つまり、歯の間隔が極めて狭い。しかし、ハーモニック周波数コムは、その周波数のもっと大きな倍数を使うことができる。
「この新しいコム状態では、われわれは、キャビティ長で設定された厳格な制約をバイパスすることができ、量子カスケードレーザ周波数コムの領域で前例のない柔軟度に到達できる」とポスドクフェロー、Marco Piccardoは説明している。
研究の要点は、これらの大きな間隔の歯が実際に等距離であることの証明であった。別の参照コムを使い、研究チームは、極めて高い分解能でハーモニック周波数コムスペクトルを調べることができた。
「われわれは、わずか300Hzの不確かさでラインが等距離であること、この測定の相対精度を5pptで表せることを示している」と客員研究者、Dmitry Kazakovは説明している。
ハーモニック周波数コムは室温で動作し、市販の量子カスケードレーザを使い、自動スタートする。つまりレーザは、電流がデバイスに注入されると、自動的にこの領域に移行する。
(詳細は、www.seas.harvard.edu)