October, 25, 2017, ふじみ野市--KDDI 総合研究所は、大容量のモバイル無線信号波形をデジタル信号に変換することなく直接光ファイバで高品質に伝送可能な大容量・長距離化技術を開発し、これまでの記録の2.5倍となる大容量無線信号の長距離光ファイバ伝送実験に成功した。
今回達成したモバイル通信の速度は63Gbpsで、次世代移動通信システム「5G」で想定される最大通信速度20Gbpsの3倍以上となる。また、開発した技術により、基地局設備の大幅な小型・省電力化が可能となるため、これまで以上にアンテナ数が増大する5G以降において、大容量・高品質なモバイル通信サービスの迅速な展開を支える光ファイバ伝送技術として期待できる。
研究成果は、ヨーロッパ光通信国際会議(ECOC2017)ポストデッドライン論文として発表された。
KDDI総合研究所は、既設光ファイバで伝送可能なモバイル無線信号の容量と距離を拡大する技術を開発した。RoF伝送方式は、シンプルな強度変調-直接検波(IM-DD)構成でありながら、無線信号の高い周波数利用効率での光伝送が可能。そのため、光送受信機に必要な帯域を削減でき、従来の光ファイバや光部品の活用が期待できる。また、伝送後のデジタル信号復調処理が不要となり、アンテナサイト設置機器の小型化・省電力化が可能となることから、迅速なサービス展開にも期待ができる。
従来は無線信号を光送信器で光の強度のみを変調していたが、今回考案した新たな光送信器構成では、パワーフェーディングの影響を受ける周波数帯の信号に対して光の強度ではなく位相を変調し、強度変調された光信号と位相変調された光信号を偏波多重している。これにより、光ファイバ伝送後は一般的なIM-DD方式で適用されている受信構成で、全ての周波数帯の無線信号を受信することができる。伝送実験では、20kmのシングルモード光ファイバを用い、64値直交振幅変調(64QAM)、チャネル帯域幅1.2GHzの直交周波数分割多重(OFDM)信号を周波数軸上に等間隔に並べ、21GHzまで拡がる広帯域無線信号を1550nmの光波長1波で一括伝送した。従来の方式では半分以下のチャネルしか伝送できなかったが、これまでの記録の2.5倍となる大容量無線信号のRoF伝送実験に成功した。
(詳細は、www.kddi-research.jp)