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ブラウン大学研究チーム、SPPを使って光のコヒーレンスを変える

October, 23, 2017, Providence--ブラウン大学(Brown University)の研究チームは、光の空間コヒーレンスを大きく変える方法を初めて実証した。
 Science Advancesに発表された論文によると、研究チームは表面プラズモンポラリトン(SPP)を利用して、光を非干渉性からほぼ完全な干渉性に、またその逆に完全変換する。コヒーレンスの変調能力は、広範なアプリケーションで有用である、構造発色、光通信からビームシェイピングや顕微イメージングまである。
 コヒーレンスは、伝搬する電磁波が相互に関連付けられる程度を扱う。例えば、レーザは強い干渉性の光を放出する、つまり波には強い相関性がある。太陽や白熱灯は干渉性の弱い波を放出する、これは一般に「非干渉性」と言われているが、正確に言うと、測定可能なコヒーレンス度が低いという特徴である。
 研究チームの目標は、コヒーレンスを操作する方法を見つけ出すことだった。
 そのために、ポスドク研究者Dongfang Liと工学・物理学准教授Domenico Pacificiは、コヒーレンス計測に用いられる古典的な実験、Youngのダブルスリット(Young’s double slit)を採用し、それをデバイスにした。デバイスは、光と金属膜内の電子間の相互作用を制御、微調整することで光のコヒーレンスを変調することができる。
 古典的なダブルスリット実験では、不透明のバリアを光源とディテクタの間に置く。光は、バリアの2つの平行スリットを透過し、反対側のディテクタに届く。バリアに照射された光がコヒレントであれば、スリットから出る光線は相互に干渉し、ディテクタに干渉縞を作る。一連の明暗バンドが干渉縞と呼ばれる。光がコヒレントでなければ、バンドは見えない。
 Pacificiによると、ダブルスリット実験は光のコヒーレンスの変化ではなく、コヒーレンスを計測するだけだが、表面プラズモンポラリトン(SPP)を導入することでYoungのダブルスリットは、単に計測するだけでなく、変調のためのツールにもなる。
 研究チームは、ダブルスリット実験のバリアとして金属薄膜を用いた。光が膜に当たると、表面プラズモンが各スリットに生成され、反対側のスリットの方へ伝搬する。
 「表面プラズモンポラリトンは、スリットで光が相互に話をするチャネルを開く」とLiは説明している。「その2つが結びつくことで、それらの相互関係を変え、したがって光のコヒーレンスを変えることができる」。
 要するに、表面プラズモンポラリトンは、何もないところに相関性を作り、そこに存在するいかなる相関性でもキャンセルすることができる、これは入射する光の性質とスリット間の距離に依存する。
 研究の重要な結果の1つは、達成した変調力である。その技術は、0%(完全なインコヒーレンス)~80%(ほぼ完全コヒーレンス)までコヒーレンスを変調することができる。そのような力の変調は、研究チームによると、これまでに達成されたことがなかった。これは、スリットの入った両表面に存在する表面プラズモンポラリトンの生成効率を最大化する非製造的方法によって可能になった。
 この最初の概念実証研究は、マイクロメートルスケールで行われたが、研究チームは、これが多様な設定で利用できるように拡大できない理由はない、と話している。