October, 20, 2017, Champaign--イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(The University of Illinois at Urbana–Champaign)の研究チームは、シャコの目を模倣することで、色と偏光の両方をセンシングできる超高感度カメラを開発した。研究チームによると、生物模倣のイメージャにより、早期ガンの検出が改善される可能性がある。また、水中の現象の新たな理解の助けにもなる。
「動物の世界には、人間と比べるとはるかに高感度で高度な目をもつ生き物がたくさん存在する。これらの動物は、人には見えない自然現象を感じ取ることができる」とイリノイ大学電気コンピュータ工学教授、Viktor Gruevは言う。
「光の偏光は、その例の一つである。多くの動物が偏光視覚を秘密の通信チャネルに使って餌を見つけ、空の偏光パタンを見つけるためのナビゲーションに利用している」。
シャコは、浅瀬の最高ハンターの一つと考えられており、自然界で最も高度な目を持っている。3つの異なるタイプの色受容体を持つ人の視覚と比べると、シャコは、16の異なる色受容体と6つの偏光チャネルを持つ。
「これらの器官は、われわれの視覚システムの感度を凌駕するだけでなく、今日の最も高度な、最先端のカメラと比べて、より少ないパワーとスペースを使って、より多くの視覚情報を撮る」。
研究チームは、ある基礎物理学的コンセプトを利用してシャコの視覚システムを再現した。
Gruevによると、自然界では、シャコの感光性エレメントは互いに垂直的にスタックされている。このスタッキングにより、短い、青色の光などの波長が浅い感光受容体で吸収され、赤色は深い受容体で吸収される。光受容体は、ナノスケールで周期的に組織されており、それによって光の偏光特性も見ることができる。
「シャコのシステムに適用されている同じ物理法則を、デジタルカメラ作製に利用されている材料、シリコン材料に適用する。相互に多数のシリコンフォトダイオードをスタックすることで、われわれは特殊フィルタを利用することなく、色を見ることができる。さらにこの技術を金属ナノワイヤと組み合わせることで、色と偏光の両方を見るシャコの視覚システムの一部を効果的に再現することができる」。
シリコンフォトダイオードとナノマテリアルのこの独自の組み合わせにより、研究チームは、オートフォーカス・自動露出の色-偏光カメラを作製することができた。そのようなカメラのアプリケーションは幅広く、早期ガンの検出から、環境変化のモニタリング、多くの水中動物が利用していると思われる秘密の通信チャネルの解読まである。
(詳細は、illinois.edu)