October, 11, 2017, 東京/ 札幌--イムラ・ジャパン株式会社と北海道大学電子科学研究所の三澤弘明教授,上野貢生准教授の研究グループは,東京大学大学院理学系研究科の合田圭介教授と共同で,酸化チタンの薄膜と金ナノ微粒子,金薄膜を組み合わせた光センサを開発し,照射する可視光の波長によって,流れる光電流の向きを反転させることに成功した。この光センサの動作原理を利用すれば,インフルエンザの診断や妊娠の判定などを現在よりも高速かつ高精度に行える簡易検査キットの開発や,高感度な光センサの小型化に繋がるものと期待される。
金ナノ微粒子を酸化チタンなどの酸化物半導体基板上に配置し,可視光(波長 400~800 nm)を照射すると,酸化チタンは可視光を吸収することができないが,金ナノ微粒子の局在表面プラズモン共鳴により,金から酸化チタン伝導体へ電子が移動する。研究では,酸化チタンの薄膜層の上側に金ナノ微粒子を,下側に金薄膜を配置した。上側の金ナノ微粒子や下側の金薄膜から酸化チタンへ電子を移動させることで,照射する波長によって光電流や光起電力の方向を反転させられるとの発想に基づく研究。
金ナノ微粒子/酸化チタン/金薄膜電極を作用極,白金を対極(参照電極として白金をそのまま,または Ag/AgCl 電極を使用)として電解質水溶液に接触させた。次に,可視光領域の様々な波長の光を作用極に照射して水の酸化還元反応に基づく光電流や光起電力を観測し,それらが照射波長により反転することを検証した。
(詳細は、www.hokudai.ac.jp)