October, 11, 2017, 群馬--群馬大学 大学院理工学府電子情報部門の森前智行准教授は、ノイズが非常に多く計算能力が「弱い」量子コンピュータであっても、古典コンピュータの性能を十分に上回ることを理論的に証明した。これにより、非常に複雑な汎用の量子コンピュータを作らなくても、近い将来に実現できる技術で、量子コンピュータの古典計算機に対する優位性を実演できるようになると期待できる。
研究では、今回初めて、このone – clean – qubitモデル(1998年に、米国ロスアラモス研究所の研究者が提案)が、古典コンピュータよりも高速であることを計算量理論に基づいて理論的に証明した。これにより、長年の未解決問題(one-clean-qubitモデルが本当に古典コンピュータを凌駕する「量子スプレマシー」を示すのか、という長年の未解決問題)に解を与えたことになる。複雑な汎用量子コンピュータを実現しなくとも、近い将来に実現できる非汎用量子コンピュータでも古典コンピュータに対する優位性が証明できたことで、今後の量子テクノロジーの応用において重要な役割を果たしていくことが期待される。とりわけ、最近IBMがクラウド量子計算のサービスを試験的に開始して話題となったが、将来クラウド量子計算が一般化した際には、まずはこのような非汎用の量子計算がクラウド上で行われることになるため、今回の研究はその理論的基盤をなすものである。