Science/Research 詳細

産総研、シリコンフォトニクスによる新しい光ネットワークの実運用を開始

October, 3, 2017, つくば--産業技術総合研究所(産総研)データフォトニクスプロジェクトユニットは、ダイナミック光パスネットワークと呼ばれる新しいネットワーク技術の開発を進め、今回そのテストベッドを東京都内に構築し実運用を開始した。
 従来の光ネットワークでは、電子ルータを用いているため、通信量に比例して消費電力が増大する。一方、今回のシステムでは、光スイッチにより信号を光のまま振り分けるため、通信量によらず超低消費電力で通信できる。また、4K/8Kなどの超高精細映像を遅延少なく非圧縮伝送でき、それによって実現する遠隔共存は、医療や教育、産業などの幅広い分野で革新を引き起こすほか、AR/VRなどを活用したeスポーツなどの新産業創出の契機になることが期待されている。
 今回のテストベッドは都内の既設の未使用光ファイバを利用した。ユーザーの要求に基づき、任意のユーザー間を光回線(光パス)でつなぐ回線交換型の光ネットワークである。数万人規模のユーザーに対応するには高性能な光スイッチが多数必要となる。シリコンフォトニクス技術による光スイッチは、信頼性が高く、小型・低消費電力で大量生産に適しているが、実用面での課題が多く、これまで実験室での検証にとどまっていた。今回、光スイッチの多くの課題が解決でき、実環境で安定に動作するレベルに達したため、今回のテストベッド実運用を初めて実現した。
 この技術の詳細は、国内外の学会などのほか、10月3~6日に幕張メッセで開催されるCEATECで技術展示される。