October, 3, 2017, 東京--NICTネットワークシステム研究所は、光ファイバで伝送されたパケット信号の経路を切り替える光交換技術において、従来の世界記録を4倍以上更新し、毎秒53.3テラビット(Tbps)の光パケット信号のスイッチング実験に成功した。
実験では、次世代光ファイバ技術である大容量マルチコア光ファイバに接続可能な高速並列光スイッチシステムを開発し、各コアの光信号の一括切替えに成功した。1回の経路切替えに要する時間は80ナノ秒(ns)と高速で、1秒間に390万回以上のスイッチングを達成した。
今回の実験成功により、光スイッチシステムが大規模データセンタなどのビッグデータが流通するネットワークのスイッチとして適応可能であることを示した。次世代光ファイバと光スイッチシステムを利用すると、ネットワーク装置の設置スペースの大幅な縮小や消費電力の低減が可能となる。
論文は、第43回欧州光通信国際会議(ECOC2017)にて非常に高い評価を得て、最優秀ホットトピック論文(Post Deadline Paper)として採択された。
研究成果
NICTは、新たに高速並列光スイッチシステムを開発した。この光スイッチシステムとこれまで開発したマルチコア光ファイバを接続し、53.3Tbpsの7コア多重光パケット信号のスイッチング実験に成功した。この速度は従来の世界記録を4倍以上更新し、1秒間に非圧縮8K映像370チャネル相当の光信号に対応可能なものである。
スイッチシステムを構成する要素技術
・小型で繰り返し高速切替えを行う新型並列光スイッチ(NICT委託研究「大規模フラットネットワーク基盤技術の研究開発」の成果の一部を利用)
・光パケット信号の宛先に応じ、複数の新型並列光スイッチを同時に駆動させるスイッチコントローラ
スイッチシステムは、わずか80nsの時間で7コア多重光パケット信号の宛先を判断し、一括で同じ経路に切り替えることができる。
(詳細は、www.nict.go.jp)