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超短光パルスで磁性体中に大振幅テラヘルツ・スピン波を励起

September, 25, 2017, 九州--九州大学大学院理学研究院の佐藤琢哉 准教授は東京大学、立命館大学、京都大学、および海外の研究チームと共同で、フェムト秒光パルスを磁性体に照射することで、従来より高い周波数のテラヘルツ・スピン波を最高効率で励起することに成功した。
 光を用いた磁性体の超高速制御は、基礎・応用の両面から注目されている。可視光や近赤外光は主に電子の軌道角運動量と相互作用する。しかし、多くの磁性体では軌道角運動量が消失しているため、磁化と光との相互作用は大きくない。研究では、軌道角運動量が消失していない酸化コバルトに着眼し、フェムト秒光パルスを用いた大振幅のスピン波(磁化の波)励起を実証した。また、反強磁性体はスピン波の周波数がテラヘルツ帯に達することが知られているが、反強磁性酸化コバルトはその中でも最も高い周波数を示した。
 この結果は、電子スピンを用いる情報技術(スピントロニクス)における超高速かつ高効率な磁気光学デバイス(テラヘルツ放射源、光磁気記録など)の開発につながると期待される。
 研究成果(Excitation of coupled spin-orbit dynamics in cobalt oxide by femtosecond laser pulses)は、「Nature Communications」にオンライン掲載された。