September, 14, 2017, Cambridge--新しい方法で、伸縮自在伝導インクの精密プリンティングとエレクトロニクスコンポーネントのピック&プレイスを統合して、フレキシブル、ウエアラブルセンサが実現する。
身体の動きを追跡、計測することを目的とするウエアラブル電子デバイスは伸縮自在でなければならないが、硬い電子コンポーネントを皮膚を真似たマトリクス材料に、あるいはその内部への組込が難しいことが証明されている。そのようなコンポーネントは、柔らかな材料のように伸びたり、力を消失させたりすることはできない、柔軟性のこのようなミスマッチは、ハード素子とソフト素子間の接続部に応力を集め、ウエアラブルデバイスが壊れる原因となることが多い。
ハーバード大学、米国空軍研究所などの研究グループは、ソフトエレクトロニクス向けに新しいアディティブマニファクチャリング技術、ハイブリッド3Dプリンティングを開発した。この技術を使って柔らかな伝導性インクと硬い電子コンポーネントをもつマトリクス材を統合して1つの伸縮自在のデバイスを実現できる。「この技術により、電子センサを直接材料にプリントでき、デジタル的に電子コンポーネントをピック&プレイスし、センサのデータ信号を一挙に読み取るために必要な電子回路となる伝導インタコネクトをプリントできる」と論文の筆頭著者、Alex Valentineは説明している。
伸縮性のある伝導性インクは、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)でできておおり、TPUは銀フレークを混ぜた柔軟なプラスチック。ピュアTPUと銀-TPUリンクの両方をプリントすると、それぞれデバイス下層のソフト基板と伝導エレクトロニクスになる。「基板とエレクトロニクスの両方ともTPUを含んでいるので、レイヤごとにいっしょにプリントすると、乾燥する前に相互に強く接合する。溶液が蒸発した後、両方のインクが固化し、柔軟で伸縮性のある集積システムを形成する」とValentineは説明している。
プリンティングプロセスで伝導性インクの銀フレイクがプリンティングの方向に沿って整列し、その平坦なプレート上のサイド層が相互に重なり、森の地表に重なる落葉のようになる。この構造的整列により、プリントされた電極に沿って電気を伝える能力が向上する。「インクと基板は3Dプリントされるので、伝導性のパタニングの場所を完璧にコントロールし、ほぼ全てのサイズと形状のソフトな電子デバイスを作製するための回路を設計できる」とポスドク研究者、Will Boleyは話している。
伸ばすと電気伝導性に変化が現れる伝導性材料でできたソフトセンサは、プログラマブルマイクロコントローラチップと結合してデータ処理をする、また、人が理解できる形式でデータを通信する読み出しデバイスとも結合している。これを実現するために研究チームは、プリントしたソフトセンサをデジタル「ピック&プレイスプロセス」と統合した。同プロセスは、空洞のプリンティングノズルにより適度な真空となっている、これは特殊なプログラム可能な仕方で、電子コンポーネントをピックアップして、基板面にプレイスするためである。
これら表面実装電気部品(LED、抵抗、マイクロチップなど)は、生来ハードで硬いので、研究チームはTPUの接着力を利用して、各コンポーネントを下層のソフトTPU基板に取り付ける前に、コンポーネントの下にTPUインクドットを塗布した。乾くと、TPUドットはこれら硬いコンポーネントを固定し、マトリクス全体に応力を分散する役割を果たし、これによって完全にアセンブリされたデバイスは、その機能を維持しながら最大30%の伸縮性を持つことになる。この方法で造られた、フラットTPUシートに接着された12のLEDで構成されるデバイスは、LED光の強度の減少なし、デバイスの機械的損傷なしに、繰り返し円筒形に曲げることができた。
(詳細は、www.wyss.harvard.edu)