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3Dプリントスマートフォンツールで脳震盪診断

September, 13, 2017, Washington--ワシントン大学(UW)の研究チームは、フィールドで脳震盪や他の外傷性脳損傷を客観的に検出できる初のスマートフォンアプリを開発している。スポーツゲームのサイドライン、戦場、転倒しがちな高齢者の家庭などで利用される。
 PupilScreenは、スマートフォンのビデオカメラとディープラーニングツールを使って瞳孔光反応の変化を検出できる。ディープラーニングツールは、一種の人工知能(AI)で、人の目には感知できなような変化を定量化できる。
 瞳孔対光反射は、患者に重篤な外傷性脳損傷があるかどうかを定量化するために使用されてきた、また最近の研究では軽い脳震盪の検出にも有用であることが分かっており、まったく新しいスクリーニングに道を開くものとなっている。
 研究チームは、PupilScreenが深刻な外傷性脳損傷例の検出に使用できることを実証した。この秋に、より広範な臨床研究を行い、瞳孔反応特性が脳震盪の曖昧な事例の判定に有用であるデータをもっと多く収集する予定である。研究チームは、2年以内にPupilScreenの商用バージョンを発売したいと考えている。
 PupilScreenは、スマートフォンのフラッシュを使って患者の目を刺激し、ビデオカメラが3秒のビデオを記録する。
 ビデオは、ディープラーニングアルゴリズムを使って処理される。これによって、個々のビデオフレームでどのピクセルが瞳孔に属するかが分かり、フレーム全体で瞳孔サイズの変化を計測する。外傷性脳損傷の患者と健康な人々から48の結果を総合した試験研究で、臨床医はアプリの出力だけを使ってほぼ完璧な精度で脳損傷を診断することができた。
 ワシントン大学の研究チームは、当初、目に対する光照射を制限するために3Dプリントしたボックスを用いてPupilScreenをテストしたが、現在はスマートフォンカメラだけで同様の結果を生成するようにマシーンラーニング神経回路を訓練している。
 PupilScreen開発における課題の1つは、眼の瞳孔と虹彩を区別するためのマシンラーニングツールの訓練に関連しており、ここでは、目の画像、約4000に手書きで注釈をつける必要があった。コンピュータは、人の目で感知できない微妙な瞳孔反応の違いを定量化できるという利点を持っている。
「瞳孔反応計測特殊問題を解くアルゴリズムを設計する代わりに、われわれはこれをマシンラーニングアプローチに移行させた、つまり大量のデータを収集し、コンピュータが自分で学習するアルゴリズムを書いた」とUW医科学生、論文の共著者、Jacob Baudinは説明している。
(詳細は、www.washington.edu)