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A*STAR、量産フォトニックデバイス向けにハイブリッドシリコンレーザ

August, 24, 2017, Singapore--A*STARの研究チームは、安価で、シンプル、スケーラブルに、半導体レーザをシリコンウエハ上に製造する画期的な方法を開発した。
 ハイブリッドシリコンレーザは、GaAsやInPなどのIII-V半導体と成熟したシリコン製造技術を結びつける。このようなレーザは、大きな注目を集めている。単一のシリコンチップ上にフォトニック素子とマイクロエレクトロニック素子を集積できる、安価な、量産可能な光デバイスを約束するからである。アプリケーションの幅は広く、短距離データ通信から高速、長距離光通信まである。
 現在の製造プロセスでは、レーザは別のIII-V半導体ウエハで製造され、次に各Siデバイスに個別にアライメントされる、これは時間がかかり、コストもかかるプロセスで、これがチップ上に搭載するレーザ数を制限している。
 こうした限界を克服するために、A*STARデータストレージインスティテュートのDoris Keh-Ting Ngチームは、ハイブリッドIII-V半導体とSOI光マイクロキャビティを製造する画期的な方法を開発した。これは製造プロセスの複雑さを大幅に低減し、よりコンパクトなデバイスの誕生につながる。
 まず、SOI層間熱ボンディングプロセスを使って、III-V半導体の薄膜をSiO2ウエハに結合することで、強力な結合を実現し、酸化剤、Piranha溶液やフッ化水素酸なども不要にする。
 マイクロキャビティのエッチングにはデュアルハードマスク技術を使用する。これは目的の層を制限的にエッチングする技術で、この技術によりマルチオーバーレイリソグラフィ、エッチングサイクルを排除した。
「われわれのアプローチは、多くの製造ステップを省略し、危険な薬品の利用を減らす。プロセスの完了にはリソグラフィステップが1回必要なだけである」とNgは説明している。
 成果は、低温SiO2層間ボンディングとデュアルハードマスク、シングルリソグラフィパターニングを組み合わせた新しいヘテロコア構成と統合製造プロセスを示している。
 「このプロセスはヘテロコアデバイスの製造を可能にするとともに、製造の課題を大幅に低減し、研究コミュニティによる利用のための代替ハイブリッドマイクロキャビティとして役立つ」とNgはコメントしている。
(詳細は、www.phys.org ニュース)