August, 18, 2017, Oxford--オックスフォード大学の研究チームは、実験室生成の細胞を3Dプリントして生体組織を造る新しい方法を開発した。
研究チームによると、そのアプローチは再生医療を変革する可能性がある。身体の病気、損傷を受けた部分をサポート、修復、拡大する可能性を秘めた複雑な組織や軟骨の生成ができるからである。
高分解能生体細胞のプリンティングは難しい。細胞がプリントされた構造内で動くことがよくあり、自己崩壊するからである。しかし、オクスフォードの化学学部化学生物学教授、Hagan Bayleyのチームは、形状を維持するための構造をサポートする自己完結型細胞で組織を生成する方法を考案した。
細胞は、脂質コーティングに覆われた保護ナノリットル液滴内に含まれており、レイヤごとに組み立てられて生体構造を造ることができる。この方法でプリントされた組織を作ることにより、個々の細胞の生存率を改善することができる。また、研究チームは、各組織を一度に一滴で満足できる分解能で造ることで現在の技術を改善することができた。
役立てるには、人工組織は人体の挙動や機能を真似ることができなければならない。その方法は、パターン化された細胞構造を造ることができ、一旦完全に成長すると自然の組織を真似る、あるいは潜在的に強化することになる。
OxSyBio(オクスフォード合成生物学)の3Dバイオプリンティング研究者、論文の筆頭著者、Dr Alexander Grahamは、「われわれは、生きた器官にあるような基本的な振る舞いや生理を示すことができる3D生体組織を狙っていた。今日まで、プリントされた組織の限定的な例はある、それらは天然組織の複雑な細胞構造を持っている。したがって、われわれは高分解能細胞プリンティングプラットフォームの設計に焦点を当てた。比較的安価なコンポーネントを使い、幹細胞を含む一連の細胞から適切な複雑さを持つ人工組織を再現性良く造るために利用できるものである」とコメントしている。
研究者は、さらなる開発により、その材料が世界中のヘルスケアに幅広く影響を与えると期待している。潜在的なアプリケーションには、臨床動物実験を不要にする、再現性のある人体組織モデルを造ることが含まれる。
今後は、広範な生きた材料やハイブリッド材料を利用して産業規模で組織を生成する、新しい補完的なプリンティング技術の開発に取り組む。
(詳細は、www.ox.ac.uk)