June, 21, 2017, 九州--九州大学先導物質化学研究所の玉田薫教授の研究チームは、他のグループとの共同研究により、細胞が接着した「ナノ界面」の構造を高い時空間分解能で観察できる「局在プラズモンシート」の開発に成功した。
2014年のノーベル化学賞に代表されるように、光の回折限界を超える空間分解能を持つ超解像度顕微鏡の開発が現在世界中で進められている。この技術によって生きた細胞内の分子の観察が初めて可能になったが、観察には非常に複雑で高価な装置が必要である。
研究グループでは、金属ナノ粒子が規則配列した単層シートを蛍光観察基板として用いることで、現在最も「薄い」領域の観察に用いられている全反射蛍光顕微鏡の約10分の1の厚みの「ナノ」の領域のイメージングに、世界で初めて成功した。この観察には金属ナノ微粒子の持つ「局在表面プラズモン」の効果を利用している。
この局在プラズモンシートを用いれば、細胞が接着した界面における「接着斑」の高解像度イメージングや、細胞内の分子の動きの高速観察を、ほぼ全ての生化学系の研究室が持っている汎用の蛍光顕微鏡下で行うことができる。超解像度蛍光イメージングを身近なものにするこの技術は、世界の生化学、医学の研究者の標準技術となることが期待されます。
研究成果は、「Scientific Reports」に公開された。
(詳細は、www.kyushu-u.ac.jp)
研究グループ
岡本晃一准教授、臼倉英治特任助教(現在名古屋大学)、博士課程1年の増田志穂美、広島大学医歯薬保健学研究科の柳瀬雄輝助教、九州大学先導物質化学研究所の木戸秋悟教授、久保木タッサニーヤー助教他。