June, 21, 2017, Aachen--合成ダイヤモンドは、レーザオプティクスの材料として魅力的である。その超高屈折率と優れた熱伝導性により、ダイヤモンド製のレーザオプティクスは従来のレーザオプティクスよりも10倍軽量になる。kW領域のファイバレーザは、したがって、運用が極めて柔軟になる。フラウンホッファの3研究所が、先頃ダイヤモンドの製造と加工を最適化し、初のダイヤモンドレンズ搭載切断システムをテストした。
ダイヤモンドにはいくつか素晴らしい特性がある。例えば、その屈折率2.4は非常に高く、製造されるオプティクスは極薄になる。熱伝導率2000W/m Kは、光学ガラスのと比較して1400倍高い。高い損傷閾値とともに、これらの特性によりダイヤモンドはハイパワーオプティクスからの関心が極めて高い。
今日まで、CO2レーザ用のウインドウに用いられているのは多結晶ダイヤモンド基板だけである。不純物と欠陥のために、それらは発振波長1µm付近でレーザ照射を吸収し、散乱させる。単結晶ダイヤモンドにはこのような問題はないが、製造が一段と難しくなる。
フラウンホーファー応用固体物理学IAF(Fraunhofer Institute for Applied Solid State Physics IAF)は、何年も前から単結晶ダイヤモンドの製造を研究してきた。IAFで開発されたCVD装置のプラズマ状態は安定しており、数ミリメートル厚までの基板の作製が可能である。
最大60のダイヤモンドの同時作製が可能であり、製造レートは時間当たり最大30µm、開口部約10㎜のオプティクスを製造できる。
合成単結晶ダイヤモンドで作製したレンズは、低吸収、低複屈折を示している。現在、検査サンプルは反射防止コーティングされ、ファイバレーザ切断ヘッドに組み込まれている。
「われわれは初めて、ダイヤモンドレンズの完全なレーザ光学システムの最適化を行った。これにより、切断ヘッドは90%以上軽量化された」とレーザ技術ILT研究所、Martin Traub氏はコメントしている。
7mm径のレンズは、問題なく2kWレーザパワーのテストをパスした。現在、パートナーが1kWファイバレーザの切断テスト用システムを作製。切断ヘッドには水冷とシールドガスサプライが組み込まれている。プロセスモニタリングはまだ計画されていない。最初のテストは、コンパクトな切断ヘッドで現在実施されているところである。
新しい光学システムは、レーザ切断の柔軟性を著しく高める。小型サイズにより、システムはアクセスが難しい領域の加工でもでき、軽量化により3D加工中の極めて動的な動きが容易になる。