June, 14, 2017, Montreal--Polytechnique MontréalのStéphane Kéna-Cohen教授の研究は、光が物体に出会うと、特殊条件下では摩擦なく流れることを実証した。
光は波で構成されていることは知られているが、光が流体としても振る舞うことも事実である。光は川の流れのように波打ち、渦巻く。この事実は、ごく最近発見されたもので、まだ積極的研究課題である。光の「流体」特性は、特殊環境下で顕在化する。それは、光波を形作るフォトンが相互作用するときである。
イタリアのCNR NANOTECの研究チームは、Polytechnique Montréalと共同で、電子を「纏った」光で、非常に劇的な効果が生ずることを示した。光は超流体になり、物体を横切って流れる時に摩擦を示さず、その物体の向こうで波打つことなく再結合することを示した。
この現象を観察した実験リーダー、Daniele Sanvittoは、「超流動は、通常絶対零度付近で観察される。われわれの研究では、超流動が室温、環境条件下で、光-物質粒子であるポラリトンを使うことで起こる」と説明している。
「粘性のない流体が文字通り容器からしみだしてくる超流動は、すべての粒子が、ボーズ-アインシュタイン凝縮と言われる凝縮する能力に関連している、これは物質の第5状態として知られ、その場合粒子は単一のマクロ的波のように振る舞い、周波数と全く同じように振動する」。
「例えば超伝導でも同じようなことが起こる。電子がペアで凝縮し、超流動が生ずる、すなわち損失なしに電気を伝導することができる超電流である」。
これらの実験は、室温で超流動が得られることを示した。これまでは、このような特性は絶対零度付近でしか達成できなかった。このことは将来のフォトニックデバイスで利用できる。
Stéphane Kéna-Cohenは、「室温で超流動を達成するために、有機分子の超薄膜を2つの高反射ミラーの間に挟んだ。光は、ミラーの間を往復しながら分子と非常に強く相互作用し、これによってハイブリッド光-物質流体を形成することができた。こうして、フォトンの特性、光の効果的な質料と高速性を、分子内の電子による強力な相互作用と結びつけることができた。通常条件下で、流体は波打ち、その流れと干渉するどんなものの周りでも渦巻く。超流体では、この乱流が障害物周囲に抑圧され、流れが変わりなく続く」と説明している。
研究チームによると、環境条件下でそのような効果が観察されると言うことは、「将来の膨大な研究に拍車をかけることになる」。卓上実験でボーズ-アインシュタイン凝縮に関連する基礎的現象の研究だけでなく、将来のフォトニック超流体ベースのデバイスの考案と設計が考えられる。ここでは、損失が完全に抑制され、新しい予想外の現象が利用できる」。
(詳細は、www.polymtl.ca)