June, 7, 2017, Munich--新開発の組織スキャナにより、乾癬患者の皮下を見ることができるようになっている。これにより臨床的に意義のある情報が、造影剤や放射線照射なしで得られる、例えば表面薄層の構造や血管などの情報である。ヘルムホルツ・ツェントルムミュンヒェンおよびミュンヒェン工科大学(TUM)の研究チームが、先頃Nature Biomedical Engineeringに研究成果を発表した。
乾癬(尋常性乾癬)は炎症性皮膚疾患で、特徴はひどく皮膚の皮がむけ、掌サイズまでのまだら。疾患は、EUで推定1000万~1500万の人々に影響を与えている。
現在、医師は皮膚表面の特徴、かさついた皮膚の赤さ、厚さなどを視覚評価に基づいて判断している。「こうした基準は、皮下の全パラメータを見逃すことになり、主観的である」とDr. Juan Aguirreは指摘している。「処置前に皮膚と血管の構造を知ることで医者は役に立つ情報をえることができる」。
臨床医にこうした情報を提供するために研究チームは、皮下に達する新しい技術を開発した。RSOMと名付けられた技術は以下のように機能する。
弱いレーザパルスが関心のある組織を励起すると、エネルギーが吸収され、最小限に加熱される。これによって瞬間的に組織が拡大し、超音波が発生する。研究者は、この超音波信号を計測し、この情報を使って皮下にあるものの高解像度画像を再構成する。
その方法を開発しながら研究チームは、スキャナのサイズをハンドヘルドデバイスに縮小することができた。
最近発表された研究成果で、研究チームは、RSOMのパフォーマンスを乾癬患者の皮膚組織及び皮下組織検査で実証した。RSOMにより、乾癬や炎症のいくつかの特徴、皮膚の厚み、血管密度、欠陥の数、皮膚の総血量などを確定することができた。研究チームは、これらを集めて、乾癬の重症度を評価するための新たな臨床指標を定める。新しい指標は、皮下の特徴も考慮に入れているので、現在の臨床基準に勝る可能性がある。
研究チームの計画では、同じイメージング法を将来的には、皮膚ガン、あるいは糖尿病など他の病気の評価に利用する。糖尿病患者は、血管損傷に悩まされることがよくあるので、早期に発見されれば、早めの処置ができ、大きな有効性が見込める。
(詳細は、www.helmholtz-muenchen.de)