June, 1, 2017, Wien--ウィーン工科大学(TU Wien)で、量子化された「磁気電気効果」がトポロジカル絶縁体で初めて実証された。これは、極めて正確な新たな計測法に道を開く。
空間を通して送られる光波は常に同じ方向に振動している。しかしある物質を使って光を磁場の中に置くとその振動方向を回転させることができる。これは「磁気光学」効果として知られている。
この種の効果の1つの変種がTU Wienで初めて実証された。光波の方向を連続的に変えるのではなく、「トポロジカル絶縁体」という特殊な材料が、明確に定義された部分、量子段階でそのように機能する。この量子段階の拡張は、微細構造定数など基本的な物理パラメータにのみ依存するものである。いずれ、この定数を光技術を使って、現在他の方法で計測するよりももっと正確に計測できるようになる。最新の研究成果は、Nature Communicationsに発表された。
TU Wien固体物理学研究所のAndrei Pimenov教授の説明によると、一般に、その効果は物質の厚さに依存する。物質の中を光が移動する距離が長ければ長いほど、回転角は大きくなる。しかし、研究チームがWürzburg研究グループの助けを借りてより詳細に調べた物質の場合にはこれは当てはまらない。研究チームの焦点は「トポロジカル絶縁体」である。ここでは、重要なパラメータは厚さではなく、その表面である。
内部は絶縁体でも、通常、電気はトポロジカル絶縁体の表面に沿って極めて効果的に伝導する。「トポロジカル絶縁体を通して放射光を送る時でさえ、表面は非常に効果的である」とPimenov教授は言う。光がこの物質の中を伝搬するとき、ビームの振動方向は、物質の表面によって二度回転させられる、光の入射時に1回、出射時にもう一度。
ここで最も注目すべきは、この回転が特定部分で起こること、連続的ではなく、量子段階で起こることである。これらのポイント間の間隔は、材料の形状、特性によって決まるのではなく、基礎的な自然定数によってのみ決まることである。例えば、微細構造定数に基づいて規定できる。これは、電磁相互作用力の記述に使用されるものである。このことは、これまで以上に精密に自然定数を計測する可能性に道を開くものであり、新しい計測技術の特定にさえつながる。
状況は量子ホール効果と同じである。この効果は、一定の物質に観察されるもう1つの量子現象であり、この場合は一定量でのみ特定の変数(ここでは電気抵抗)が生ずる。量子ホール効果は現在、高精度計測に使用されている。電気抵抗の公的標準定義はそれに基づいている。
(詳細は、www.tuwien.ac.at)